<参>
婀:さてと・・・下着に夜着・・・と。(ごそごそ) さ・・・目隠しをとってよろしいですぞ。
お:ふぃ――っ、さ・て・とっ、ほれじゃあお夕食の仕度・・・の続きでもしましょうかんね。
婀:それでしたら、妾も。
お:あぁ、別に手伝わんでも構わんよ。 それほどのもんでもないっしから。
婀:そうは言われましても・・・せめて何か手伝わせて下され。
お:ホイじゃ、邪魔ならんように見といて?
婀:(じ・・・邪魔??) 驍様・・・そんな存外な言い方は・・・・
お:でぇ〜〜もねぇ・・・チミら滅多と包丁握ったことないんしょ?
現にひぃちゃん、ワシの見舞いに来た時、キレーに親指の腹 ざっくり イッちまった事だすしねぇ・・・。
婀:あ・・・・(それで姐上あの時・・・・)
お:ま、そんな事もないんだろーけど・・・婀陀那っちまでもねぇ・・・・そゆ事させたくはないんしよ。
婀:(あ・・・) それは・・・・お気遣い、感謝にございまする、驍様。
お:いえいえ・・・・なんのなんの、ですよ。 さてと・・・割烹着はこれでやんすね。
婀:ああ・・・・っ(ぽぅ・・・) 姐上・・・・ステキ過ぎ・・・・。(うっとり)
お:(・・・・っと) ち、ちょい・・・婀陀那っち? ナニ見とれてんカネ。
婀:あ・・・っ、いや・・・これは失礼。(//_//;;)>゛
お:(・・・ったく・・・)
がさ ごそ
婀:何をやっておいでなのです?驍様。
お:え?!いや、ナニね・・・今から味噌汁拵(こさ)えんのに、出汁とるいりこや昆布、ワカメ・鰹節の類がないのよ。
婀:え・・・・っ?! ・・・って、驍様、味噌汁を作るのに、そんな手間隙をかけておられるので??
お:はぁぁ??そんだんよ?フツー。
がさ ごそ
お:はぁ〜〜やっぱないわ・・・どなんしょ。
婀:ち、ちょっと待って下され?なれば妾が・・・・
がさ ごそ
婀:あっ、ありました。
お:へ????
婀:ほれ・・・これでございまするよ。
お:は・・・(ダ、ダシの素・・・) あ゛〜〜よくこんなヘタレたもんで、ガマンできとるね?チミ達・・・。
婀:(ヘタレ???)
お:はぁ・・・・まぁ、これじゃあアレですわね? ざっくりいくのも無理はないってことでしょーよ。
ん??まてよ・・・まさかとは思うけど・・・。
がさ ごそ
婀:い、いかがなされたのです?驍様・・・。
お:あっ!! はぁ〜〜、よかった、あったがよ・・・・。
婀:なにが・・・です?
お:味噌だよ、お味噌。 出汁がインスタントだから、味噌のほうも? かと思っちゃってねぇ。
婀:はぁ・・・。
お:さぁ〜〜ってっと・・・
ガパ・・・・
お:・・・・・・。(^^;;)
婀:こ、今度はいかがされたので?
お:いゃあ・・・味噌汁のネ、具だよ、具!! めぼしいもんつったら、しなびたニンジンに、小振りなタマネギくらいしか・・・・。
はぁ〜〜あ、こりゃあ骨折れソーだわ・・・。
婀:?????
お:味噌汁でこんなんじゃあ、メインのほうもどんなもんだか・・・・・。 (でも・・・まぁ、一応は冷凍庫見てみよか・・・)
ガラ・・・・
お:おほ・・・今度は打って変わって、お肉類はたぁっぷりとおじゃるのねぇ?
んじゃ、そだね・・・・この豚肉と、生姜・・・・に、キャベツ・・・と、それからお刺身ね。 まぁ・・・こんなもんでなんとかなるっしょ。
そいじゃまづ、味噌汁のほうから・・・お鍋に二人分の水を沸騰させといて・・・・その間に、豚肉と、お刺身の下拵えを・・・・と
うぃしょっ!うりゃ!とりゃあぁっ!・・・・っつて、なんじゃこりゃあ? ここまで切れにくい包丁も・・・・
あらら、こりゃまぁ・・・・ズイ分とまぁたハデに使ってんだね?(はは・・・・)
婀:なぜにそのようなことが分かるのです?
お:ほーれ、ちょい見てみ? こりじゃあ食材のほう切らずに、指切るのも無理ないっしわ。
刃はかけホーダイだし・・・刃先もすっかり丸くなっちゃってて・・・これじゃあいらん力が入るのも無理はない・・・・。
どれ・・・砥石は・・・・っと、あった、ンじゃ一つ・・・・
シャ〜〜〜コ シャァ〜〜〜〜コ シャァァ〜〜〜〜コ
お:ふん・・・・・む。
キラリー・・・・ン☆
お:これでいいだんしょ。
ス ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
婀:ん・・・?(ああっ!な・・・なんと・・・ま、全く力が入ってないように見えるのに・・・・先ほどとは打って変わって・・・)
お:んん?どうかしたかい?婀陀那っち。
婀:い・・・いえ・・・いや、しかし・・・刃の砥ぎ先が変わるとこうも・・・・とは・・・
お:思ってもみんかった?
婀:は・・・・はい・・・。 (・・・・・に、しても・・・今の姐上のこのお姿・・・やはりこのお方は斯くあるべきじゃな・・・・。)
(そう・・・婀陀那さんはそこに、とても奇妙なものをみていたのです。
それというのも、いま和服に割烹着を着込んで料理をしているのは、日頃自分が“姐上”と呼んで慕っている人物。
でもしかし、その手際のよさは、自分たちと同じく『ビッグ3』の一人、杜下驍のものだったのだから・・・・。
だから、もし、この柾木阿恵華なる人物が、和服に割烹着という出で立ちで、料理もこんなにも上手かったなら・・・・と、そう思えて仕方がなかったのです。)
お:ほいほい、おかずのほうはこれでよし・・・と、ではご飯のほう、よそおうかねぇ。 ・・・・って、あら・・・・う、うぞ・・・。
婀:い、いかがされたのです?驍様。
お:あ・・・はは、め、メシ炊けてへんヤン。
婀:はぁ・・・でも良いではないですか、どうやら姐上は最新式のジャーをお使いのようですし、なに・・・5・6分もあれば出来ますよ。
お:え゛え゛?5・・・・5・6分?? よ、世の中便利になってんだねぇ〜〜。
婀:何を寝とぼけた事を・・・あなた様もお使いなのでありましょうに。
お:えっ?!ぅ・・・・いや・・・まぁぁ〜〜〜そのぉ〜〜〜ねぇ?
婀:(うん?歯切れが悪いのぅ・・・。) まぁどれ、見せてみなされ、これは妾のほうが詳しいですから・・・・(ピッピッ)
お:なはは・・・(いゃぁ〜〜まさか、こんなケチ臭い思いするたァねぇ・・・)
それより・・・盛り付けでもすべぇか・・・。
(ンな・・・こ、これっ!ケチ臭いとはなにごつですか!!あんたは!!!(^フ^;;)
まぁ・・・・それよりも(またもうやむやのうちに・・・(―フ―;;)今晩のお献立。
ニンジンとタマネギの味噌汁・豚のしょうが焼き・キャベツの炒め物・お刺身・炊きあがりのご飯
これでもケチ臭いかね?)
婀:それでは、頂きます。 (ズ ズ・・・・)ふぅ・・・やはり作りたてはおいしくありますな、驍様。
お:(はぁ・・・・)そう?
婀:・・・・・いかがされたのです?おいしくはないのですか?
この味噌汁なんぞは・・・(ズルズル・・・)味噌のかおりといい、コクといい・・・申し分ありませぬよ。
お:あっ・・・・そう・・・。
婀:・・・・何が・・・・ご不満なのです?! ご自分が作ったものでありましょうに・・・。
お:いや・・・・べつに・・・・。
婀:・・・・。(おかしなことを申されるお方よのう・・・)
(確かに、婀陀那さんの言うとおり、今のこいつの言動・・・おかしくありますよね?
自分で作ったっつーのに、ケチ臭いだの・・・・なんだの・・・・と、納得してないようなのでありますが、実はこれにはふかぁ〜〜いワケがございまして・・・
(でもまぁ・・・そのわけも後日にて・・・・(^フ^;;)>゛)