<弐>

 

 

お:まぁ・・・・。

婀:(ほほぅ・・・) これは・・・ざるソバでございまするか。

 

京:まぁね、ちなみに、面はお手打ち製、おつゆは『めんつゆ』のストレート、それから・・・なんといっても忘れちゃならないのが、これよね!!?

 

お:わ・・・山葵!!

婀:・・・・・・・・。

 

 

(そう、今回のおもてなしの一品は、“手打ちの蕎麦”(でもどうやら、自家製のものではないらしい)に、そばつゆはスーパーで売ってる“めんつゆの<ストレート>”

そして極め付けが、まだすってはいない、特産品の“山葵”のようです。

 

でも、どうやら山葵のほうは、今からすり卸(おろ)すようなのですが・・・・この卸し金、というのが・・・・)

 

 

お:(は・・・・)さ、鮫の革・・・・。

婀:・・・・・・・・・・・・・・・。

 

京:ちょっと待っててね?

 

スリスリ・・・・スリスリスリスリスリ・・・・

 

京:はい、どうぞ。

 

 

お:うぅ〜〜ん、すり卸したての山葵の香りが・・・・ つぅ〜ん と漂って来て、おいちそ〜〜!!

婀:・・・・・・・・・。

 

 

(そう!なんとも粋な事に、京子さん、鮫の皮を使って山葵をすり卸したのであります。

そしてその卸したての山葵を、めんつゆに入れ蕎麦をつけて食べると・・・!!?)

 

 

お:(つぅぅ〜〜ん) くぅぅ〜〜っ!!これですわ!これっ!! 卸したての新鮮な香りに、この鼻に抜けるような味覚! たぁ〜まりませんわぁ〜〜!!

婀:・・・・・・・・。

 

 

(どうやらおひぃ(婀陀那)のほうは、ノリノリのようですが、婀陀那(ステラ)のほうは・・・といいますと?)

 

 

京:(あら)どうしたの?婀陀那ぁ、一口も手をつけてないじゃないの、どこか具合でも悪いの??

 

婀:いや・・・・どこも悪くしてはない・・・ただの・・・

お:(うん?! ただ・・?)

 

婀:・・・・済まぬが、この話無かったものとしてはもらえまいか?

お:(な・・・なんと??)

 

京:(え・・・?)ど、どうして・・・・どういう事なの?婀陀那・・・。

 

婀:いや、これはただこちらのケチな料簡でしてな。もし、このままで・・・という事なら、妾はこの取引には応じかねる・・・と、いうだけの事なのじゃよ。

京:・・・・・・。

 

お:(く・・・・っ!!)ちょ、ちょっとごめんあそばせ・・・・。(おほほほ)

 

 

(なんと・・・自己の勝手な考えでこの取引の話を反故にする・・・・とは、全くもって寝耳に水なのでありまして、

おひぃ(婀陀那)も、この男が何を考えてこんな事を言っているのか、皆目検討がつかないので、急遽ここのw,cへ連れ込んだわけなのでありまして・・・・)

 

 

お:ちょっと!!驍様!あんた・・・・どういうつもりで・・・!!?

婀:はぁ・・・じゃけんどねぇ・・・婀陀那っち、こんなケチな事で了承してええもんなのじゃろかねぇ?

 

お:(んな・・・) け、ケチですとぉぉ??! こ・・・っ、これのどこが?!

婀:いゃあ・・・その前にさぁ、婀陀那っちこそ、ワシの襟首捕まえて何するつもりね?

 

お:(うっ・・・・う) な、何がどうケチなのか・・・そこのところ説明できますのかえ?

婀:ああ、まあええですよ? そだねぇ・・・んじゃ、婀陀那っちが自分とこで使う・・・ってのはまあよろしかろうが・・・

 

お:(・・・・が?)

 

婀:ギルドに“展示”する・・・・ってぇのがまずひとつ。

お:・・・・ほかには?

 

 

婀:・・・・・今の昼食(ちゅうじき)だよ。

お:(昼食(ちゅうじき)?) アレのどこがご不満なので? 口当たりも良く、暑い盛りの今とあっては実に清々しい・・・・

 

婀:ふぅん・・・・そうだね、まあ・・・手打ちのお蕎麦に、スーパーで買ってきたストレートのめんつゆ・・・まではよしとしよう。

  でも・・・・一番にまずかったのは・・・アレだよ。

 

お:(あれ??) ・・・・・も、もしや?!!

 

婀:そう・・・・あの 山葵 さ。

 

お:あ・・・・っ、あれのどこがどういけないので? 鮫の皮で卸したてを食すなど、粋ではございませぬか・・・

 

婀:ほんじゃ、いっちょホンマもんの“和”の“寂”(さび)っちゅうもんを食してみますかい?婀陀那っち。

 

 

お:(え・・・?) ほ・・・・ほんまもん?

婀:そっ、ほんまもん。

 

 

(そう・・・・なんと、婀陀那(ステラ)が気に入らなかったのは、ギルドに“展示”する ディスプレイ用 のモノ・・・と、

たった今、昼食として出されたもの・・・のようでありまして、これには流石に納得しかねるおひぃ(婀陀那)なのではありますが・・・・しかし。

婀陀那(ステラ)の、この  ほんまもんの“和”の“寂”(さび)  に、揺り動かされたようでありまして。

 

それから・・・?)

 

 

婀:のう、お京殿、すまぬが・・・・ここに茶室はありませなんだか?

 

京:え??茶室??? あ・・・・あった・・・かしら??

 

婀:確か・・・・今は使われてはおりはせなんだでしょうが・・・ここの奥のほうに、あったのではなかったか・・・・と。

 

京:ちょ・・・ちょっと待っててね?(ピッポッパッパ)

 

(どうやらお京さん、おそらく先代・・・(つまり自分の親)に電話をかけているようです。)

 

お:茶室?? あったのか?ここにそのようなところが・・・

婀:うん?まあ・・・・見てなって。

 

 

京:(プルルル・・・・) あっ!お母さん?ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・いい?

  あのね? ここに、茶室・・・ってあったかしら?  え?ホントに?それ・・・どこ?そ、そんなとこにぃ?? うん・・・うん、分かった、ありがと。(ガチャ)

 

  あったんだって・・・!! この、お座敷の、奥の奥に!!

 

婀:ほぉ・・・・そうでしたか。  では、そこをちと拝借できませぬかの?

京:え?? う〜〜ん・・・・まあそれはかまわないけど・・・。

 

 

(そして・・・ここの茶室(?)に通される婀陀那(ステラ)とおひぃ(婀陀那)なのですが・・・)

 

 

京:(ここ・・・ここから先にある・・・のはいいんだけれど、ここから先は 秘密の場所 だって、滅多に立ち入れさせてもらえなかったのよね・・・)

 

 

お:ちょ・・・ちょっと!驍様!!? こ・・・この薄気味悪いところより先に、茶室なんぞ、本当にあるのですか??

  お京の親友の妾でさえ、斯様なところは知らなんだというに・・・

 

婀:・・・・・・・・・。(つかつかつか)

 

お:あっ!こっ・・・これっ!!

京:え・・・っ?!婀陀那?

 

 

(いぶかしむ二人を後に、婀陀那(ステラ)は、ただ黙してその先を進んでいったのです。         そして・・・)

 

 

婀:・・・・・うん、ここじゃ。

京:こ・・・っ、ここが??

お:・・・・。(し、しかし・・・本当にこんなところが?)

 

 

(そう・・・・二人して、またも疑問に思ったのは、何年も使われておらず。

またそれゆえか、手入れも行き届いておらずに、埃がたまりホーダイになった、ちょっと見では小汚い部屋・・・だったからなのです。)

 

 

婀:(フフ・・・)何年も使われてはおらぬというに・・・・幾年(いくとせ)ぶりかのう、ここに参るのは。

 

京:(ええっ??!)あ・・・婀陀那ぁ?!あなた・・・ここ利用したことがあったのぉ???

 

婀:んん??!

お:(あ゛あ゛っ!なんつー事を゛っ! わ、妾はここをいま初めて知ったというに〜〜・・・し、知らぬぞ。)

 

婀:ん゛〜〜と・・・・あ、あったぞよ? た、確か・・・こぉ〜んなちぃさなときに・・・な??(アセ・・・ッ)

京:ふぅぅ〜〜〜ん・・・(じとぉ・・・)

 

お:(ほぉれみろ! お京のやつ・・・一気に怪しんでおる目で・・・・)

 

 

婀:(たじ・・・っ) そ・・・それより、ここを少しばかり綺麗にいたそう。 姐上、あいすみませぬが、手伝うては下さらんか?

お:・・・・・・・・。

 

婀:あ・・・・あのぉ〜〜姐上?(^^;;)

お:・・・・は?(あ・・・)は、はい。 そ、そうでしわね、そういたしましょう。

 

婀:(ヤレヤレ・・・) あ、お京殿も頼みまするぞ? それよりも妾は準備がありますゆえに・・・。

 

京:は・・・・あ・・・

 

 

(ちょいおっさん!不用意な発言して自分をどつぼに追い込みなよ・・・・(^^;;A)

それよりどうやら、ススや埃だらけのここを本気で使うようで、おひぃ(婀陀那)とお京さんに、お掃除を頼んだようですが・・・

自分は・・・というと、“準備”という名目でそれをエスケープするようでつ。(ずるひぞ・・・おマへ・・・(―W―;;)

 

でも、ちょっちまち―よ、あんさん・・・・あんたさっき “和”の“寂”を“食す” とか言ってなかった??)

 

 

お:(はぁ〜〜あ、ヤレヤレ・・・ここに来て、よもやこんなことをさせられようとは・・・・。

  しかし、あの方はここを借り切って何をするつもりなのじゃろうか・・・?よもや・・・茶でも点てられるのかの?

まぁ・・・この際ではあるし・・・もう少し付き合うてみるか・・・)

 

 

(・・・・どうやら、おひぃ(婀陀那)カンネンしているようっすね・・・(^^;;)

それはそうと、ここのお部屋のお掃除、半ば終わりを迎えたころ、ここの従業員がやってきまして・・・・)

 

 

従:すいません、お嬢。 これここにおかさせてもらいますよ・・・・っと。(ゴト・・・) おーい!お前達も次々に運んで!!

 

 

京:(ええ?) こ・・・・これは・・・?

お:鰹箱(かつばこ)・・・に、少々大振りな飯椀3つ・・・それと、急須に卸し金・・・とは。

 

京:あの・・・これ、どうしたの?

 

従:へえ?ああ・・・なんでも、お嬢のご友人・・・と言う方が、この奥に運んでくれ・・・とのことでして・・・

 

お:なぬ?!ヒ・・・ひょっとして・・・ここのをか?? な・・・っ、なんつーバチ当たりなッ!!

京:(え?)あ・・・あの〜〜・・・ま、柾木・・さん?

 

お:へ??(あ・・・っ、し、しまっ・・・) あ、い・・・いや、なんでも・・・なんでもないんですのよ?おほほほほほ・・・・

 

 

(なんとも罰当たりなことに、婀陀那(ステラ)『みろく堂』に置いてあったモノ・・・ってそいつぁ商品でわないですかッ!!(^フ^゛)

そらまあ・・・確かに自分らここのお得意さまで、優遇されてる・・・っつってもねぇ、そいつは余りな暴挙ぢゃありまへん?

(あ・・・だからかね?思わずおひぃ(婀陀那)の地が出たの・・・って)

 

それはそうと??)

 

 

お:むっ?!!そういえば・・・。  と、ところで・・・ここの方?も、森野様・・・はどこに行かれたので・・・

従:へ?? そいやぁ、まだ取り揃えるものがある・・・っつって、ここを出て行かれましたけど・・・

 

お:・・・。(―_―#)  あんにょ・・・アホたれはぁぁぁっ!## にっ、逃げおったな?!!#

 

京:・・・・?(この方達・・・“断金の交わり”(切っても切れない事の喩え)って聞いてたけども・・・ひょっとして、そうじゃあないんじゃないの??)

 

 

(お京さん・・・見かけはそうなんすけど・・・入ってる中身が違うんだってば!!(^フ^゛)

しかし・・・なんと婀陀那(ステラ)、店のモノを勝手に使う・・・と言う暴挙に出た挙句に、まだ何かを取り揃えるために、ここを飛び出したようですぞ???

(まぁ・・・確かに、そりゃあ“逃げた”と思われても・・・(―フ―;;)

 

しかし・・・まぁ、ねぇ・・・このまんまホントに逃走しちゃったなら、こいつは単なる 犯罪実録 みたいなもんなんでして・・・

実は、ここから先が、重要だったりするんです。(いや、ホントに)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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