<さん>
(皆、w.c.休憩に入る中、婀陀那のいる楽屋に行くおひぃさん。)
婀:おお、これは姐上、いかがでしたかな?
お:ご苦労様、中々聴き応えがありましたわよ? さすがですわね、向こうの音大で主席を取られた方のお声というものは。
婀:ははは、からかわないで下され、妾の感性など、あの方や、姐上にくらぶれば、塵、芥の如きでございますよ。
お:でも・・・、本当の事ですもの。
婀:・・・・それより、あの者達どうでしたかな? 何か言ってはおらなかったですか?
お:言ってましたわよ? 婀:え・・・っ?! どんな風に??
お:あんな歌の上手い人が、どうしてこんなところ(ギルド)なんかにいるのか・・・・って。
婀:また・・・・、ご冗談を。
お:残念ですが、これも本当の事です。 それを証拠に、何かのコンサートと間違えて、料金払おうとしたのよ? あの二人。
婀:まさか・・・・・。
お:だから言ってやったの、明日の『クリスマス』の日に、何か特技を披露してみろ・・・って。 二人とも快諾いたしましたのよ?
婀:(ほう・・・・) では、姐上・・・・・二部には、あなた様も、出てもらいましょうかの。
お:ええっ?! わ・・・わたくしは・・・いいです、別に。
婀:ふふふ・・・、いけませんなぁ、部下にはここに立たせておいて、ご自分は『高見の見物』・・・ですか?
お:そ・・・・そういうわけじゃあないけど・・・・・う゛・・・・・。
婀:決まりのようですな。 何、妾の歌だけだったら身持ちがしなかったので、いづれは出てもらう算段でおったのですよ、ご了承くだされ。
お:まぁっ! 予定のうちの行動だったの? いけない人ね。
婀:ふふふ・・・・、申し訳ございませぬ。
サ:ふぃーッ、ケッコ―中、混んでたよな。 どうにかまにあ・・・・って、あれ? おひぃのヤツは?
J:いませんですね・・・、どこ行ったかな。 あ〜〜ン・・・・もぅ、始まっちゃうよう。
(しかし、ここにも異変が、司会の真沙螺が中々でてこないのである。)
J:ありゃりゃ? おっかしいですね、司会の人も・・・・ですかぁ?? サ:おや? 出てきたけど、さっきのヤツじゃねえみたいだな。
シ:お待たせしてすみません、どうやらいままで司会進行していた方が、急用がある・・・とかで抜けられたようです。
変わって司会は私“シィ”がやらさせていただきます。 どうかお一つ、よろしくお願いしま〜〜す。
はいっ、それでは二部の開始でーす、が、その前に、『すぺっしゃる・ゲスト』をお迎えいたしま〜す!
柾木家のご息女、柾木阿恵華様です、拍手でお迎えください、どうぞ・・・。
パチパチパチパチパチパチ・・・・・
サ:へ・・・? い・・・今・・・柾木・・・って・・・? え??
J:にしてもおかしな話っすよね、もともと『犬猿の仲』ってくらいの両家の息女のお二人が、同じパーティーに顔つき合わしてるの・・・・って。
サ:それ言ったらよぅ。 『ギルド』はどうなんだよう、『ギルド』は!! しかも大体だな、こんな大きな家の集まりに・・・・どう見たってオレら場違いだで?
J:それもそーだ〜ね。
お:どうも、今ご紹介に預かりました柾木です、別に何の能もありませんが、わたくしの歌でよろしければ、披露したいと思います。
シ:それでは参りましょう! 柾木様で、二曲続けてまいります! この曲です、どうぞ・・・・。
【柾木阿恵華(おひぃさん)】
〔もう一度;竹内まりあ〕
〔駅;竹内まりあ〕
サ:あれ? あそこにいるの・・・って、おひぃのヤツじゃねぇの?? オレ・・・ってこんな頭悪かったっけか???
J:いやあ、アレは本物のようですよ、柾木阿恵華って、おひぃさんのことだったんすねー。
サ:そらそーと、おめぇ、順応早いな・・・。 今の今まで、隣に座ってたのって、大物も大物だったんだぜ?
J:でも、彼女も歌上手いっすよね〜、婀陀那さんとはまた違った上手さ・・・。
サ:そ、そりゃあ・・・・そうだけどさ、なんかもう、どうでもよくなってきたぜ。
シ:はい、どうもありがとうございます。それにしても、さすがですよね、森野様といい、柾木様といい、うらやましい限りですよ。
お:あら、でもわたくしあまり、歌う方は得意ではないですから。
シ:そんなことはないですよ、みんな聞き惚れてますですよ? で、どんなもんでしょ、もう一・二曲ほど・・・、お願いできますかね?
お:仕方ありませんですね、では、もう一曲だけなら・・・。
シ:ありがとうございます! では、お聞きください、この曲です、どうぞ・・・。
【おひぃさん】
〔SCARBOROUGH FAIR〕
サ:なぁ、jokaよ、オレ今思ったんだけどさぁ。 この人達ギルドみたいな仕事しなくて、十分こっちの方で食ってイケるんじゃねぇかな・・・?
J:ですよね。 でも・・・まぁ、本人達の決めた事だからいいじゃないっすか。 サ:まぁな。
お:どうも、お粗末さまでした。
シ:いえいえ、そんなことはないですよ、でもさすがは柾木様、英語の歌も中々のものですね。私ちょっぴり感動しちゃいました!
お:(あははは・・・・)あ・・・ッ、どうやら、婀陀那さんの用意が出来たみたいですから、わたくしはこの辺で引かせて頂きますね。
シ:あ・・・・、そ、そうですか、(逃げられた・・・(-フ-;;) それでは婀陀那様でーす、拍手でお迎えくださいっ!
パチパチパチパチパチ・・・・
婀:いやはや、妾も楽屋で聞いていましたが・・・、自分の前にあまり上手いお人を出すべきではないのう。 自分の下手さが余計際立って見えるようじゃ。
お:もぅ・・、全く、婀陀那さんたら、お上手なんですから。 J:あっ、おひぃさん、お疲れーッす。
サ:いや、でもな、オレとしちゃあ、甲乙つけ難いぜ?! J:ですよねぇ・・・、なんか明日不安なってきちったよ。
お:あら、別に変に気を使わなくてもいいのですよ? それぞれのいい持ち味を出しさえすれば、恥ずかしいという事はないのですから。
j:へぇ・・・・。(いい事いうなぁ、さっすがだわ。)
シ:さて、婀陀那様、次はどんな歌を披露されてくれるのか、私非常に楽しみです! では聞いてみましょう、どうぞ・・・。
【婀陀那】
〔Winter Light;サラ=ブライトマン〕
J:あはは・・・、もうなんも言う事ないっす。(=フ=;;) サ:右に同じ(=_=;;)
お:(うふふ・・・、それにしても、いよいよその本領発揮というところですね)
シ:続いてこちらをお聞きください、どうぞ・・・。
【婀陀那】
〔Ave MARIA〕(婀陀那、これを『ア・カペラ』で)
J:ほひゃぁ〜〜、ありは反則だにゃ〜〜。 サ:これだもんなぁ・・・。実際参るぜ、『アカペラ』なんてよッ!!
お:(素晴らしい・・・・、確実に四年前から、進歩していらっしゃる・・・それに引き換え、わたくしなんて・・・・)羨ましい限りだわ・・・。
J:アレ? どうかしたんですか? おひぃさん。 お:いいえ・・・、なんでも・・・・なんでもないんですよ。
シ:それでは、今日最後の曲となります。この曲ですどうぞ・・・。
【婀陀那】
〔AMAZING GRACE〕(婀陀那、これも〔ア・カペラ〕で)
サ:いや・・・、さっすがにさぁ、いいのをトリに持ってくるよなぁ・・・。 J:しかもまた『ア・カペラ』ッすよ。
(ここでおひぃさん、何もいわずに立ち上がって盛大なる拍手をする)
お:(パチパチパチパチパチパチパチ・・・・・・・) J:あ・・・っ! そうか・・・。 (パチパチパチパチ・・・・・・・)
サ:いっけね・・・。 (パチパチパチパチパチパチ・・・・)
(それが見事に波及し、結果『スタンディング・オベーション』となる)