<V>

 

(そしてしばらくたって・・・・)

 

 

ヱ:コーディ・・・コーディ、終わったわよ・・・。

 

コ:ぃいやああぁっ! こっ・・・来ないで!!

 

  ど、どうか・・・命ばかりは!!

 

ヱ:な、何を・・・バカな事を言ってるの・・・?

  私よ・・・ヱルムよ?

コ:ぇえっ?! ヱルム・・・?  でも・・・あなた、今・・・。

 

ヱ:そう・・・、信じたいならそれでもいいの。

  でも、私は、同僚のあなたを見捨てておけなくて・・・。

 

コ:(え・・・っ?!)

 

ヱ:とりあえず、その恰好では町へは帰れないわね。

 ほら、私のローブあげるから・・・。

 

コ:えっ、でも・・・それじゃあ、あなたのは・・・?

 

ヱ:私?  私は・・・いいの・・・。

ズ・ズ・・・・                 ズザザザ・・・・

 

 

コ:(はあっ! はぁぁぁ・・・)

 ヱっ・・・ヱルム・・・あなた・・・そのローブ・・・・!

 

ヱ:ありがとう、コーディ。 ようやく私の名を読んでくれて・・・。(ニコ)

 

  さて、私は報告をしにギルドに帰らなければ・・・。

 

コ:(ヱ、ヱルム・・・。)

 

 

(着ていたものをオーク共に引き千切られ、見るも哀れなコーデリアに、自分のローブを手渡すヱルム。

でも・・・そうすると、彼女自身のは?

 

いえ、この時彼女は、自分の持つ強大な魔力から、一紡ぎの冥き(くろき)ローブを創り出していたのです。

 

そう、それは ヴァンパイア の模した物を・・・しかし、それでは・・・・

 

そう、それでは迫害の的になるのは日を見るより明らかだったのです。)

 

 

ズズズザザザ・・・・・         ザワザワザワ・・・

 

 

母:は・・・はあぁぁ・・・。  ささ、早く中にお入りなさい!?

男:お・・・・おぃ、み、見ろよ・・・化け物が・・・ヴァンパイアが街の中に入り込んできやがったぞ?!

子:帰れ! お前なんかいなくなれ!!

ヒューー・・・・                      

                                                    ガッ!

                                                                   (子供の投げた石、ヱルムに命中・・・)

 

ヱ:(ぃ痛っ!)

 

母:ああっ! バカッ! なんて事をするの!!  こ、こっちに来たらどうするの??!

 

 

ヱ:(行きや・・・行きやしないわよ・・・。)  大丈夫よ・・・大丈夫・・・。

 

 

(慣れたとはいえ、周囲からの仕打ちは、日を追う毎に辛くなる一方・・・。

 

それでも彼女はめげることなく、ギルドへの道を急いだのです。  ですが・・・

 

この時、彼女は気付いていなかったのです。

通行手形ともいうべき、ハンターのトレードマークとも言うべきものを身に纏っていなかった自分に・・・。)

 

 

守:ぅん・・・?  あっ! お前、ちょっと待て!!

ヱ:えっ?! 何・・・私??

 

守:あぁ、そうだ。 お前、ハンターじゃないな?

 ここに立ち入る事はまかりならん! 早々に立ち去るがよい!

 

ヱ:な・・・っ、何をバカな事を! 私はれっきとしたここのハンターですっ!

 

守:それじゃあ、そのトレードマークというべきローブはどうした。

  身に着けていないじゃあないか??!

 

ヱ:ローブ? ロー・・・

(はっっ! そ、そういえば・・・あの時コーディに渡したっきり・・・)

 

守:もしかして・・・お前、何かのドサクサに紛れてここを襲うってんじゃあないだろうな??

ヱ:なッ、何をバカな! わ、忘れただけよ。

  家に取りに帰るわ・・・それでいいんでしょ?

 

守:おい、待て・・・。 怪しいな・・・。

  ひょっとして、お前・・・先だって騒動のあった化け物じゃ あるめぇな・・・。

 

ヱ:(だったら・・・だったらどうだって言うのよ・・・)  ふん・・・。(クル)

 

(ヱルム、厄介な事になる前に足早にそこを立ち去る・・・)

 

 

守:なんだぁ? あいつは・・・・。  一応、上の方に連絡入れとくか・・・・。

 

 

(この時、彼女は自分の身を呪った事に違いはなかったでしょう・・・。

良かれと思い、ミッションをこなしてきても、報告にあがれない 今の自分の身を・・・・。

 

そして、失意の先に彼女を待っていたものとは・・・・)

 

 

 

ヱ:・・・・・・。(また・・・・今日も・・・・)

 

 

 

(そう・・・そこには、塗料で大きく書かれた  DEATH  や  KILL  の文字。

それに、『化け物は出て行け!』や、『不浄の者は無用!』 と言った誹謗中傷の類の手紙、チラシが

彼女の家に貼られていたのです。)

 

 

 

ヱ:ううっ・・・くくっ・・・。(ぽたり・ぽたり・・・)

  (わ、私が・・・私が・・・何をしたって言うのよ!!)

 

ガシャーーン!−☆

 

ヱ:・・・・。(ビクッ!)

 

コロコロコロ・・・                             

                                           スッ・・・

                                                        (ヱルム、ガラスを破った石を拾い上げる)

 

ヱ:これが・・・これが今の私の存在意義・・・・。

  生きてる事が・・・私が存在する事が、こんなにも罪だったなんて・・・!!(ポロポロ)

 

  ふふ・・・、不思議・・・よね? 例え、もう死んだとしても・・・泪が枯れる事がないなんて・・・!!

  

  私なんて・・・私なんて・・・・この世からいなくなればいいんだわ・・・。

  そうすれば、こんな辛い目に遭わなくてすむ・・・。

 

  全身切り刻んで・・・血の一滴まで流せばいくら私だって・・・・・・。

 

 

 

 

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