<Ⅱ>
(一方その頃、ギルドの長老室にて、
八名の最高幹部『八部衆』と、長老、ジョカリーヌが、何かの会合を行っているようです。
ですが・・・・その雰囲気から察するに、あまり友好的のようにも思えません・・・。
そして、この重苦しい空気の中、ジョカリーヌからこんな言葉が・・・)
ジ:諸兄らにはお忙しい中ご足労頂き、まことに感謝いたしておる。
ついてはのぅ、大事な事を決めるが故にお集まり頂いた次第じゃが・・・
これについて何か申しおくことはないかの?
八:それでは・・・・。
ジ:うむ、何かの・・・?
八:今回の、この 長老会 にて決めること・・・。
とは、 あの事 ・・・・ではありますまいか?
ジ:はて・・・・あの事・・・とは何の事かのぅ・・・。
八:(ク・・・ッ!)
あの・・・・ヴァンパイアを・・・
不浄なる者を、ここの頂点に据え置く事でありましょうが!!
ジ:(フフン・・・) 不服・・・・なのかえ。
八:ふ、不服も何も!
日頃、我らが討ち平らげたる者を、ここの頂点に仰ぐなど!!
ジ:お主・・・ここの創設者、そして、初代の長老が、誰・・・であるか、存じておろうな・・・・。
八:しっ・・・しかし! それとこれとでは別問題・・・・
ジ:どこが違うと申すかッ!!
ここを創設、そして初代を歴任した時には、既に妾は 不死の身 じゃったのじゃぞ!!
にもかかわらず・・・此度の一件には首を縦に振らぬとは・・・・
いかなる了見かッ!! 返答せよッ!!
八:ぐっ・・・・・ぐむぅ・・・。
ジ:しかも、たったそれしきの事で、署名を渋りおるとは・・・・
見当違いもはなはだしいとは思わぬのかッ!!?
八:・・・・・。
長:・・・・・。
ジ:確かに、外法を持って創られた体は汚れておるやも知れぬ。
じゃがのぅ・・・、そのココロまでは汚れきってはおらぬのじゃぞ?
お主らも、手許にあるものを見て、そうは思わぬか・・・。
(そこには・・・三日前、コーデリアからなされた、報告の一部始終を綴ったものがあったのです。)
八:た、確かに・・・この時の彼の者(かのもの)の行動は賞賛に値しますが・・・しかし・・・・。
ジ:成る程、どうあっても賛同できかねる・・・と、こう申すのじゃな?
八:・・・・(コク)。
ジ:他のものはどうなのじゃ? ここではっきりさせてもらおうではないか。
この決議に従えぬ者は起立せよ。
ガタ・・・ ガタ ガタ・・・・
ジ:・・・(ふぅむ・・・5:3か・・・、やはりのぅ・・・・。)
成る程、諸兄らの気持ち、よう分かった・・・・。
八:(ほ・・・っ) で、では考え直していただけるので・・・?
ジ:勘違いするでない・・・。
八:はっ??!
ジ:妾は、お主らの気持ちが、 よう分かった と言ったまでじゃ。
別にお主らの意見を聞くつもりなんぞ毛頭もありはせぬ・・・・。
八:(んな・・・) そ、それでは・・・・
ジ:(フフフ・・・) その通りよ・・・、今日集まってもろうたのは決議をする為ではない。
妾のする事に従うか・・・否か・・・・、この二者の選択じゃよ。
八:(う・・・・ぐ・・・っ)
ジ:妾に従えぬというのなら、遠慮はいらぬ。
ここから、直ち(ただち)に出てもろうても、構わぬのじゃぞ・・・。
八:(はぁ・・・うっ!!)
長:・・・・・・。
ジ:(フフッ・・・・) こちらを向いておったのでは出辛いか・・・。
なれば、後ろを向いておろう。
さ・・・・、出て行(ゆ)かれよ・・・。
八:・・・・・・・・。
(多少、強引なりと思いつつも・・・・
ジョカリーヌには、こうするしか手段はなかったのです。
アダナにより、眼前に突きつけられた、痛々しいまでのヱルムの姿・・・。
そして、何より 7,800年もの前 に、
自分達二人が受けた迫害の傷み(いたみ)を知っていたから・・・・・。
ですが、この時 事態は、誰しもが 予想だにし得なかった方向に動き出していたのです。
息を切らせながら入室するギルド職員・・・・。)
職:(はぁっ、はぁっ) ご・・・ご注進!!
た、大変ですっ! 魔物が・・・ 町
南西 に現れた模様・・・
ジ:(ナニ・・・?!) して・・・数は??!
職:はっ、はいっ!!
グリフォン・ヒポクリフ、それと・・・・スフィンクスが二頭づつで計六頭!
それに、ノスフェランが十数匹、またそれらを筆頭に、グールやゴブリン共を併せると・・・・・
その数 数千・・・・いや、数万かと!!
ジ:(く・・・・っ!! な、何故に斯様(かよう)な時に・・・・)
・ ・・・・今は、そのような詮索をしておる時ではないな・・・・・。
あい、分かった。
たれかある!!
伝:はっ!!
ジ:よいか、これから非番のハンター並びに、見習いの者 数名に、この任につかせよ。
それと、住民の命を第一にせよと申し伝えるのじゃ、よいな!!?
伝:ははっ!!
ジ:皆の者・・・この決は後にいたす。
最悪の場合、妾が討って出ねばならぬじゃろうからな・・・。
それと・・・町の皆をここに・・・ギルドに集結させるよう伝達、誘導するのじゃ。
ここなれば、いくらかは持ちこたえる事ができようて・・・・。
(そう・・・・今そこにある危機・・・。
なんと、事もあろうに、ここ数千年来 破られた事のなかった、この町の結界を破って、
魔物の軍勢が押し寄せてきたというのです。
誰かの手引きか、果てまたは・・・・?
しかし、今はそういったことを詮索する余裕はなく、
付け焼刃的ながらも、ジョカリーヌにより迎撃の命が下されたようです。
そして、丁度その頃のアダナの家・・・・
軽い夕食を三人でしているようです・・・・・・・が。)
ア:うん・・・・? ヱ:えぇっ・・・・・・?
ア:これは・・・?_ ヱ:何・・・・?
エ:(・・・・?) あの・・・どうされたんですか? 二人共・・・。
ア:(・・・・この方角・・・) ここが、フレンス・ブルグの町が・・・・襲われてる?
ヱ:い、行かなければ!!
ア:まぁてよ、何も行くこたぁねぇよ。
ヱ:で、ですが・・・・しかし・・・。
ア:非番のヤツら総動員すりゃどうにかなるさ。 私らの出番はねぇよ。
ヱ:・・・・そうかもしれませんが。
やはり、ハンターの一人として放っておくわけには行きませんっ!!
ア:そうかい、分かったよ。 ンじゃ、ちょっと待ちな・・・私も一緒に行くよ。
ヱ:(アダナさん・・・・) はいっ!!
ア:はぁ~あ、まったく・・・・バカをダチに持つもんじゃあないねぇ。
こっちまで、バカがうつっちまわぁ・・・。
ヱ:・・・・・・。(しゅん・・・)
ア:でも・・・まぁ、そのバカさ加減が、お前のいいところであり、
私が一番気に入ってるところでもあるんだけどな?
ヱ:・・・・・ありがとう。(ぼそ)
ア:んん? 何か言ったかい??
ヱ:いいえ? なんでも? さぁ、行きますか!!
ア:・・・・・(ヘンなヤツ・・・)。
(そっと言った、友への感謝の言葉を、聞き取られずに、内心 ほっ とするヱルム。
それよりも・・・・さぁ! これからが勝負です!!)