<V>

 

(そして、アダナとヱルムの二人が、この異様な波動を感知するところに赴いてみると、

既にそこは阿鼻叫喚の地獄絵図だったのです。)

 

 

ア:(う、うっ・・・) な、なんだってこんなに大勢・・・・

 

ヱ:(なんて事・・・) どうして、皆連携が取れないでいるの・・・。

  あれでは、敵の格好の餌食だわ・・・。

 

ア:(チッ!) 四の五の言ってらんねぇようだ! とりあえずは各個撃破で行くぜ?!

 

ヱ:ええ、そうですね。 とりあえずはそのほうが・・・。

  それに負傷している方を収容するのにもいいでしょうし。

 

ア:よぅし、だったら行くぜ!?

 

ヱ:あっ、お待ち下さい。

 

ア:な、なんだよ・・・調子狂うな。

ヱ:待って下さい。  あなたにはこれを・・・『プレイズ』!!

 

ア:おっ! そっか・・・・サンキュ、ヱルム。

 

 

 

(文字通り、大混戦。  魔軍とギルドのハンター達との入り乱れた状態・・・。

しかも、あちらはあちらで、かなりギルドの戦法を研究して来ているらしく、

ハンターのパーティも思うように戦わせてもらえていないのが現状のようです。

 

そこでアダナが思いついたのがゲリラ戦。

団体戦(パーティ戦)で思うようにさせてもらえないなら、

いっそ個人選(ゲリラ戦)に持ち込もうという考えのようです。

 

これにはヱルムも賛同したようですが、大事な友が苦戦しないよう、

僧侶系の術<祝福>(プレイズ)をかけたようです。

 

 

そして、一端ヱルムと離れたアダナが向かった先には・・・)

 

 

ス:ゴルルル・・・・ゴォアアアアア!

 

タ:い、いかん!! スフィンクスの咆哮だっ!  皆 気をつけろ!!

 

グ:キュゴォォオオオ!!

 

ハ:う、うわっ! た、助けてく・・・・

 

タ:あっ! 畜生!!

  (クソ・・・なんだってこんなに・・・非常呼集を受けてみりゃこんなんだとは・・・・!!)

 

  くっ!! 皆、自分の持ち場を離れるな!! なんとしてもここを死守するんだっ!

 

 

(そう、しばらく、自分の腕を磨くために修行に出ていた、

タルタロスが帰ってきていて、この非常呼集にも応えていたようなのです。

 

そして、彼自身何事かと思い、修行の成果を試そうという軽い気持ちで受けた先には、

 

一人で当たるとなると、到底困難とされているスフィンクスと、

グリフォン、ヒポクリフといった魔獣構成の軍団だったのです。

 

それにしても、以外に善戦するタルタロス。

しかし・・・・ちょっとした隙に、上空から襲いかかってくるヒポクリフの影が・・・・!)

 

 

ヒ:グルルルゥォオオ・・・・!!

 

タ:(し、しまった・・・・)

 

 

(誰もがダメ!    と思ったその瞬間、このヒポクリフよりも上空で聞きなれた声が!!)

 

ア:おおおりゃあ! 『エア・スラッシャー』!!

ズ・・・ドシュッ!!

ヒ:グギャォォオオン!

 

 

タ:あっ! お前・・・アダナ??!

ア:うん? 誰かと思ったらタルタロスじゃあないか。

  どうしたんだ? お前・・・。

 

タ:どうしたもこうしたも・・・久々に帰ってみりゃ非常呼集受けちまってな。

  それよりどうして魔物の大軍がここに・・・・?

 

ア:さぁな・・・それより、こちとらちょいとむしゃくしゃしてたところなんでね。

  丁度いい憂さ晴らしにもなるぜ。

 

タ:(ふ・・・・っ) ほどほどにしとけよ。

 

ア:あんたもな・・・。 んじゃ行くぜっ!!

 

タ:おうっ!!

 

 

(アダナは、かつて組んでいたタルタロスと合流できたようです。

そして、昔の息で次々と敵を殲滅しているようです。

 

 

ところで、一方のヱルムは、といいますと・・・・)

 

 

ハ:ぅ・・・・ぐふぅ・・・・!!

ヱ:あっ、大丈夫? (それにしてもひどい怪我・・・。)

善良なる神々よ、我らに祝福を

『リキュア』!!

(全回復とまでは行かないものの、大概の傷は完治できる回復の術)

 

 

パァァアア・・・      サァアアア・・・

 

 

ヱ:さ、これでもう大丈夫よ・・。

  (それにしても・・・・敵の数が多すぎる・・・)

  

 

やはり、確実に一つ一つ潰していかない事には・・・。

 

 

 

(すると、そこへ、ノスフェランを軍団長に据えた、グールやゴブリンの軍団が・・・)

 

グ:おっ?! なんだ? ありゃあ・・・。  よく見りゃオレ達の仲間ぢゃんかよぅ。

ゴ:へっへっへ〜〜、ずるいぜ? お前さん、一人でこんなにガメようなんてよ!?

 

ヱ:・・・・・うるさいっ!(ワナワナ・・・)

 

ゴ:は? な、なんだと??

 

ヱ:うるさい! よるな!! 汚らわしい!!!

 

ゴ:な、何言ってやがんだ・・・オレ達ゃ仲間じゃんかよぅ。

 

ヱ:この・・・私が、お前達のようなものの仲間・・・・?(ギリ・・・・)

  中々面白い事を言ってくれるじゃない。

 

  (フフン・・・そうだ) ええそうよ、悪かったわね。

  お詫びにいいものあげるからこっちへ来てくれる? 今その証(あかし)をくれてやるから。

 

ゴ:へへへっ、なんだ分かってるじゃねぇか・・・・・                             よっ??! ぐっ、ぐぁあああ!?

                                                  ズ・・・・ドォッ!!

グ:な、何しゃがんだ! おめぇ!!?

 

ヱ:(フッフ・・・クククク・・・・・)  残念だったわね・・・。

  私は、あんた達の仲間じゃない、ハンターなのさ!!

 

ノ:なんだと・・・・?

 

ヱ:運が悪かったわねぇ・・・あんた達も。(フフフ・・・ククク・・・・)

  今、私の一番機嫌の悪い時に出くわしたりなんかしたんだからさぁ。

 

ノ:まさか・・・キサマ、数日前の 西の森 での・・・・

 

ヱ:だったとしたら、どうだというんだい。(ギラッ!)

 

ノ:・・・・・裏切り者め。

  いいか! あいつは仲間でありながら我らを食い物にする不届き者ぞ!

 

  早々に素っ首を跳ね上げてしまえい!!

 

ヱ:お前如きが、この私を・・・・だと?       アーッハッハッハ!  笑わせないでくれる?

 

グ:ぅうるせぇえ!  死ぃねぇりゃあ〜〜〜!!

ドス!  ザス!  ズブゥッ!!

 

グ:へっヘぇ〜〜チョロいもんだぜ!                      うごォお?!

                                       ガッッ!!

 

 

ヱ:フッフッフッ・・・ハッハッハ!  なんだ、これは・・・蚊が刺したほどにも感じぬわッ!!

  さぁて・・・・どれ、今度はこっちから行かせてもらうとしようかしらねぇ・・・・。(ギロ)

 

ゴ:う・・・・キャ?! こっ、こいつ・・・・

グ:ヴァンパイアたぁ〜〜??

ノ:ナニ??

 

ヱ:フン・・・気付くのが少し遅かったようねぇ。

  でも、私は優しいんだからね、安心しな・・・・。

 

  誰一人として残しやしないから・・・・。  ありがたく思うんだねぇ。(にまぁ・・・)

 

うじゅる・・・・ずじゅルルル・・・・ぐぢゅうぅ・・・・

 

ゴ:ぐぎゃあぁぁぁ・・・・                              グ:あぎゃあぁぁぁぁ・・・・

 

 

ヱ:ふん、他愛もない。  さぁて・・・・お次は・・・。(ニィィ・・・)

 

ノ:ぅぬう・・・・(ヤらねばヤられる!!)  けぇりゃああ!!

パッシィィ・・・・ン・・・

 

ノ:ぬおっ?! な、なに・・・・ぼ、防御結界・・・・。

ヱ:(にっ・・・) 残念だったわね・・・。             『六魂封滅陣』!!

 

バシュシュ・・・・ザワザワ・・・・ザザザ・・・・

         シュワシュワシュワ・・・・

シュウウ・・・ウウ・・・・・   ・・ゥゥ・・・

 

(ヴァンパイアの能力と、本来の巫道使いとしての術者の彼女と・・・

そのどちらをも巧みに使い分けられる、いまのヱルムに敵などいないようです。

 

先程のように、剣で体を刺されても、何の変哲もない今の自分・・・

手から相手の生血(しょうけつ)を啜る(すする)事の出来る今の自分・・・・

 

だけど、傷ついた仲間を術式で癒やしてやれる自分・・・・

それに、今まで通り巫道の術を扱う自分・・・・

 

 

そのどれもが、彼女 ヱルム なのです。)

 

 

 

 

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