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(そして数刻の時間が経ち、その地区が制圧できた頃・・・・)
ヱ:(あらかたここも片付いたわね・・・)
あら? あれは・・・・・
(ここでヱルム、彼方に倒れているハンターを見つけ、そして駆け寄ってみたのです。
するとそれは・・・・)
ヱ:ああっ! コ・・・コーデリアじゃない!! ど、どうしたの? この傷!!?
(そう、それはかつて西の森で遭遇し、助けたコーデリアなのでした。
しかし、この時ヱルムが目にしたものとは、
肩口から下腹部にかけてつけられた深い傷痕。
しかも、それは誰が見ても判るように、とても助かりそうにもないものだったのです。)
コ:あ・・・・っ、あな・・・・た・・・ヱ、ヱル・・・・うっ!! ゴホッ!ゴホッ!!
ヱ:だっ、ダメよ! 喋っちゃ・・・。
ちょっと待ってて、回復してあげるから。 『リキュア』!!
パアァァ・・・ ・・サアァァァ・・・ ・キュィィン・・・
ああ・・・っ、(ど、どうして・・・・? 傷が完全に塞がらない・・・・)
くぅ・・・っ リ、『リキュア』!! 『リキュア』!!
コ:も・・・もう・・・・私・・・・だめ・・・なの・・・・。
じ・・・自分・・・・でも・・・・分か・・・る・・・・から・・・。(はぁ・・・はぁ・・・)
そ、それよ・・・り、・・・・あの時・・・・あり・・・が・・・・と・・・・ぅ・・・。
こ・・・こんな・・・・うぅっ! わ・・・・私・・・・なんか・・・の、・・・・為・・・・に・・・・・。
ヱ:な、なにバカな事を!! しっかりして!? コーディ!!(ゆさゆさ)
コ:ゴメン・・・・ね、借り・・・・た・・・・あぁ・・・なた・・・・の・・・ロー・・・ブ・・・
返す・・・事・・・・できな・・・・くて・・・。(ツッー・・・)
ヱ:い、いいのよ! そんな事!!
(そ、それよりも・・・あぁ・・・・血が・・・血が止まらない!! それに、心臓の鼓動も・・・)
・・・・・・・。 やるしかないわ! あれを!!
(ヱルムの看護も虚しく、塞がりきらないコーデリアの傷、
そして吹き出る血潮、止まり行く心臓。
ですが・・・ヱルム、ここで一大決心をしたようです。
彼女は一体何をするつもりなのでしょう・・・・? (まさか・・・? もしかして・・・・?)
しかし、丁度この時、タルタロスを伴ったアダナがこの場を目撃するのです。)
ア:あ・・・ッ!! ありゃあ、ヱルムのやつじゃ・・・それに、倒れているのはコーディ?!!
はぁ・・・・っ!! な、何しようとしてやがんだ!? あいつ!!
タ:おいっ! ちょっと待て、アダナ!
ヱルムは(コーディを)吸血するつもりじゃあないらしいぞ??!
ア:(えっ?!) な、なんっ・・・だって??!
(そう、そこで彼らの目撃したものとは。
確かに、口を開けたヱルムと、そして同じくして、
ヱルムに口を開けさせられたコーデリアがいたわけなのですが・・・・。
その様相から、どうやらヱルムは吸血をするつもりはないらしく、
逆に・・・・何かを・・・・
傷付いたコーデリアに分け与えるようなのです。
実際、瀕死のコーデリアを救う手立ては、
自分と同じように吸血し、不死化させるという手も、あるにはあるのですが・・・・
その手は今回は使わないようです。
では・・・・・どうやって・・・・・
その答えは、次の瞬間に明らかとなったのです。
それは・・・・ヱルムの口から、コーデリアの口に、なにやら白い物体が入り込んだから・・・。)
ぽぅっ・・・・ すぅぅ・・・・っ
ア:あ・・・っ、あぁ・・・。
な、なんだい・・・・今の・・・・ありゃあ・・・・。
ジ:ヨミの御業(みわざ)・・・・・ユコン・・・・。
ア:(えっ??!) ああっ! ジ、ジョカリーヌ・・・に、エリア!!
(そう、不意に後ろで聞きなれた声がしたかと思い、振り返ってみると、そこには・・・・
何故かしら、エリアを伴ったジョカリーヌの姿が・・・。
かつて、ヱルムをののしり、彼女らを強制退去させた彼女の口からは、これまた意外な言葉が・・・・。)
ジ:なんという・・・・。 浅慮なマネを・・・・。
あれは、術者の命をも削るものじゃというに・・・・。
ア:えっ?? ?えぇえ!!!
ジ:よう見るがよい、各々方(おのおのがた)よ。
お主らの中で、あそこまで出来うる者がおるかえ? あれは・・・・
あれは、エルミナール殿が不死の身じゃからこそ出来うる術なのじゃ。
普通の者なれば、自らの命と引き換えに、対象者を甦らせられると言うな・・・。
エ:でも、流石ですね。
自分の事を顧みず(かえりみず)に、他人にこれほどの事をして上げられるなんて・・・。
あなたのお眼鏡に狂いはなかった・・・・という事ですね、ジョカリーヌ。
ジ:(ふふっ) よいか! 皆の者!! 決して、あそこにおる者達を殺させてはならぬ!
これは、妾の至上命令じゃ!!
ア:ジ・・・・ジョカリーヌ・・・。
ジ:・・・・何を、グスグスしておる、アルディナよ。
あの者は、お主の大の親友であろうが、
それをお主が行かぬとなると、エルミナール殿に嫌われてしまうぞ?
ア:あっ、そ、そうだった!
エ:アダナ様、私も一緒に参ります。
ア:よし・・・。 じゃあ、私はヱルムのヤツを担ぐから、エリアはコーディの方を頼むよ!
エ:はいっ! 分かりました!!
(こうして、“ユコン”の術が終わり、
ぐったりとした両名を担ぎ上げ、目立たない所へと移動するアダナとエリア。
しかし、戦況は思わしくなく、徐々に後退するギルド陣営。
この状況下では、ギルドそのものも危ういかと思われたその矢先・・・・・
ついに・・・動かざる山が動いたのです。)