<V>

(9階、「ラグザ」にて・・・・)

ア:(はぁ〜っ・・・ふぅ〜っ・・・はぁ〜っ・・・)

  おぃ・・・、ヱルム・・・、その子を一体どうするつもりだ・・・。

ヱ:あら・・・、決まってるでしょ?魔道士が人をかどわかす理由の一つ・・・。

エ:う〜〜ン!ム〜〜ン!!

ア:じ・・・“人体実験”か・・・・。

  おのれ・・・・、そんな事させてたまるかぁ〜〜っ!!

ヱ:どう?少しは本気になった?

ア:ぬかせ〜〜っ!!

(なんとここで、アルディナの右目の白い部分が、黒く染まっていく・・・・・。)

ヱ:(ふっ・・・、かかったわね・・・・)

   “オン・アビラウンケン・ソワカ” (我が言の葉に依りて、汝の攻撃を無と化せよ!!)

      『天河寂光陣』!!

ア:く・・・っ!出でよ、グラム!!

ヱ:ほほ・・・、無駄な事を・・・、この術の恐ろしさを知らぬあなたではありますまいに・・・!!

  マサラ、あの方と遊んで差し上げなさい!

マ:ハイハイサ〜・・・

ア:くっ!えいっ!!

  へ・・・っ、どうしたい、相棒の“夜叉”ガムラは、今回はお休みかい・・・?

ヱ:まさか・・・・、あなた如き、この“羅刹”のマサラで十分と言うことよ!!

ア:け・・っ!よくよくなめられたもんだぜ!こいつにはなぁ、これで十分だっ!

 

げんこつ!〜

 

マ:ほへぇ〜〜・・・・。

ヱ:な・・・っ!マサラを拳でぇ??!(なんて、でたらめな・・・・)

(そして、ここでようやく縄の解けたエリア、急いでアルディナの(もと)に駆け寄る・・・・・が?)

エ:ア・・・アダナさ〜んっ!!

ア:あ・・・、大丈夫か?エリア・・・(うん・・・?こっ・・・こいつは!!)

ヱ:アーッハッハッハ!かかりましたわね、その者が、あの少女か否か、自分の目で確かめるがよい!

(なんと、エリアだと思っていたのは・・、実はガムラが化けていたものでした)

ガ:今です!ヱルム様!!

ア:く・・・っ!変わり身か!!味なマネを・・・、

  てぇい!!

 

ゲシっ!!〜☆

 

ガ:Q〜〜・・・

ヱ:遅いっ!

  (ビュ〜〜ルル・・・ッ)

ア:ぐ・・・・、『封鞭』・・・!(なら・・・仕方がない・・・)

   “我が血肉を分けし、盟約の(ともがら)よ・・・出でよ!!”

ザシュッ!

ヱ:な・・・何?!自らの腕を・・・?(ば・・・バカな・・・)

(アルディナ、封鞭の捲きついた、自分の左腕を切り落とす、しかし、なんとそこから瞬時に、肉体が再形成され、もう一人のアルディナが現れる

その一方で、アルディナ本人の左腕も再構成される・・・・。)

ヱ:し・・・しまった!!『分け身』・・・!!?

ア:(後ろを)とったぁ!ソロン!止め!!

ソ:・・・・むんっ!

ヱ:(・・・・ここまでね・・・・・。)

(しかし、ここでソロン、エルムの胸元にあと一寸というところで刃を止める・・・・)

ア:な・・・何をしている・・・ソロン、止め!!

ソ:・・・・、解せぬ・・・・。

ア:は・・・?な・・・何?!

ソ:解せぬ、と言ったのだ・・・、この者、先程から観察させてもらったが、今のお前のように“殺気”と言うのが全くもって見受けられん・・・・。

  何か、よほどの事情がおありのようだが?

ア:え・・・?なん・・・・だって・・・?

ヱ:ふふ・・・、そこまでお見通しだとは・・・・、参りました、私の負けです・・・。

ア:ヱ・・・ヱルム?あんた・・・・・。

ヱ:ふふ・・・・、またあなたに負けてしまった・・・。

(ここでアルディナ、ヱルムを解く、と同時に右目も元に戻る・・・)

ア:え・・・?それはどういう事?大体、あんた、学院じゃあ成績トップクラスで、右に出る者はいなかったじゃあないか・・・。

  落第ギリギリだった私にとっちゃ、雲の上の存在だったのに・・・。

ヱ:ええ、成績はね・・・、でも、なぜかあなたの周りには人が集まった、あの少女然り、タルタロスさん然り、

  ・・・そして、かつて『魔皇』と呼ばれた方然り・・・。

ソ:これはワシの弁護の為でもあるのだが、こうなってしまったのは成り行き上だ、偶然の産物に過ぎん・・・!

ヱ:果たしてそうでしょうか・・・?私はこれも運命の一つと思っております。

  ソロン様がアダナさんに憑いたのも何かの縁、あの少女がアダナさんに付いて来るのも何かの縁、でも・・・・私には・・・。

ア:あんただって、学院の時いっぱい仲間がいたじゃないか・・・・。

ヱ:ええ・・・、それも上辺だけのね・・・・。

ア:え・・・・っ?!

ヱ:私はあなたが羨ましかった・・・、私になくてあなたにあるもの・・・、それは、共に苦楽を分かち合い喜び合える方々の存在・・・。

  何にでも腹を割って話し合えることが出来る方々の存在、そう・・・、“親友”と呼べる方々の存在が!!

(ここでヱルムの目から、落泪・・・・・)

ア:ヱ・・・・・ヱルム・・・・。

ヱ:ソロン様も、この方を傍からご覧になられて、感づいていますよね・・・・。

  人が人を呼び寄せる条件・・・、それは“人望”のなにものでもないと言うことを・・・!!

ソ:それで・・・、今回の事件を起こしたと・・・、分からんものよなぁ、人と言うものの存在は・・・・。

  どれ、返すぞ、アダナよ・・・。

ア:あ・・・・うん・・・・・。(シュイィ・・・ン!)

 グッパ・グッパ・・・・

エ:あっ!アダナ様―っ!

ア:あ、エリア・・・・、よかった・・・無事だったんだね・・・。

エ:あ・・・あの、アダナ様、私から一つお願いが・・・・。

ア:うん?何?言ってごらん・・・。

エ:あの・・・、この人を責めないで下さい・・・。

  この人は、あの酒場で、酔っ払いに絡まれていた私を助けて下さったのですから・・・。

ア:えぇっ?!なん・・・だっ・・・て?そ・・・そうだったのか・・・。

  そうとも知らず・・・・、悪い事をしちまったな・・・ヱルム・・・。

ヱ:いえ・・・・いいんですよ・・・・。

  本気のあなたとやってみたかったのも事実だし・・・、それに・・・、あなたの身を借りている方の実力の程も知りたかったですしね・・・・。

ソ:『何だ・・・、あの時ワシも試されておったというのか・・・・、怪しからんヤツだ。』

ア:あんたはちょっと黙ってて!

ヱ:え?何か・・・言いました?

ア:い・・・いや・・・、何でも・・・・こっちの事〜 (アははは・・・(^フ^;;)>



    <<                                                              >>