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(そして、ジョカリーヌが転送した先は、こともあろうに『ギルド』内の 長老の部屋 の前だったのです。 思いもかけない絶世の美女の突然の来訪に、

驚きの色を隠せないギルドの職員達、そのあまりに突然な事に、声さえも出ないようです。)

 

ジ:これ、今ここに、長老殿はご在室かえ?

職:は・・・・は・・・・はい! た・・・た、た、・・・ただ今、と、取り次ぎますです・・・・。はい!

ジ:あぁ、これこれ、構わぬ、よいよい。 そなたも何かと忙しい身であろうからの、妾自ら、直々にかけおうて参ろう。

職:は・・・はぃ! も、申し訳ありませんでスッ! (だ・・・誰なんだ?? あの美人・・・、ひょっとして長老様のお知り合いか何かか?) ん・・・ゲッ!

 

(そして、そこに居合わせた人々は、またも目を疑ってしまう。 なぜなら、『ウィザード・ロック』がされているはずの長老室の扉を、

開けるまでもなくすり抜けて入ってしまったジョカリーヌを見てしまったからである。)

*)『ウィザード・ロック』・・・(これは、通常の鍵とかで開錠するものではなく、ある特定の魔術の儀式によって封を施したもので、おもに宝箱や、扉などになされている。

難易度としては、様々で、術者の能力如何で異なってくる。 ちなみに、ギルドの長老室の“ロック”を解いて入室したものは誰もいない)

 

職:あ・・・・あら? (ここの部屋の“ロック”って、我々でも開けて入れないのに・・・・何故???)

 

<長老室内部にて・・・>

長:全く・・・、ワシの事を、よりによって“逃げのジョセフ”じゃとは・・・。 最近の若造の悪ふざけにも困ったものじゃわい。(ぶちぶち・・・)

 

ジ:おや? 長老の席は空いたままのようじゃが、ご不在であったのかな?

長:ふん! 全くもう・・・!(ぶちぶち・・・)          おう! ワシならここにおるぞい!  最近の若いもんは・・・(ぶぢぶち・・・)

  あれ? そういえば、確か“ロック”はしてあったはずじゃのになぁ? はて??

  誰じゃ! 手の込んだいたずらをするのは!!

 

ジ:おぉ、これは済まぬ、済まぬ、“逃げのジョセフ”殿におかれては、ご立腹の最中のようじゃ。 それでは出直して参ろう・・・。

 

長:なんじゃと!?          (バタバタ・・・)こら! アルディナ! またお前か! ええ加減にせんかーっ!!#

  (・・・って、あら?) あ・・・っ、あなた様は・・・!!?

 

(ここで慌てて、ギルドの職員、数名が中に入室)

1:あわわわ・・・! ち、長老様! 大変ですっ! 今から2・3分前に、この部屋の前に巨大な空間の揺らぎと、強力無比な魔力の発生が確認されました!!

2:大事に至る前に、どうか早めに避難・・・ああっ ! お、お前は何者だっ?!

 

ジ:久しぶりじゃのう・・・・坊主。                                             長:あ・・・・、あ。 せ、先生!

 

 

 

(一方その頃、『エギドナ』にて)

エ:ハーイ、お待ちどう様です! Aランチ3人前ですね。                         ア:あぁ、有り難う、エリア(なでなで)

エ:えへへっ。 あの、今日はミッションでお出にならないのですか? アダナ様。

ア:うん? あ・・・あぁ、今日はこれから、ここの資料室へ行って色々調べもんがあるんだ、今日はそれだけだよ。

 

ヱ:(はぁ・・・)とーぶんね・・・。                                              ア:何だぁ? エルム、お前まだ、ネに持ってやがんのかぁ?

ヱ:べぇ〜っつにぃ?

エ:あの・・・、それでしたら私も、ご一緒してよろしいでしょうか?

ア:え? あ〜〜、ダメダメ、子供のお遊びとはワケ違うんだから。                 エ:そうですかぁ・・・・。(とぼとぼ)

ヱ:でも・・・、今のうちから難しい書物に目を通しておくというのも、一つの手だと思いますよ?

ア:けっどさぁ〜〜・・・。

 

ピッキ――――ン!!

 

ア:なっ??!                                                ヱ:えっ??!                                                  タ:なんだ??

 

タ:お、おい、この感じ・・・・って、                                           ヱ:え、ええ、まるであの洞窟の・・・。

ア:ま、まさかさぁ、あそこの主が自分の洞窟、荒らされた・・・ってんで、復讐しに来たんじゃ・・・。(はは・・・)

ヱ:でも・・・、それだったらすぐにでも迎撃体制になるはずよ?

ア:それもそうだな、ま・・・、単なる気のせいだろ。 早いとこ食べて、片しちまおうぜ? 資料の整理。

 

 

 

 

(ところ変わって、長老室の一区画にて。 よく見ると、長老と、ジョカリーヌが、席を並べてなにやら懐かしい話をしているようである。)

 

長:いや、それにしてもビックリしましたよ。 まさか、先生直々に出てこられるとは・・・。          紅茶ですが、よろしいですかな?

ジ:うむ、頂こう。 それにしても、何年ぶりになるかのう、妾の教え子に会うというのは・・・。

長:あの時より・・・。 7,000年前に先生がかの洞窟を作られ、そこにこもられて以来ですよ。

 

ジ:ふふ・・・、昔はものを思わざりけり・・・・か。      時間が経っているとはいえ、何一つ変わってはおらぬ・・・ここはの。

長:周りは近代化されている、というのにですか?

ジ:うむ! 変わってはおらぬ。 妾も、坊主達の悪戯には、ほとほと手を焼いたものよ。

長:ははは・・・。

 

ジ:これ! 笑い事ではないぞ?!  第一、その殆どが坊主の画策したもので、しかも、他の誰よりも“逃げ”を打つのが上手かったからの・・・。

長:それでついたあだ名が『逃げのジョセフ』ですか・・・、ははは、これは耳の痛い。

 

ジ:じゃが、そのお陰で・・・。 7,000年前、二度目の魔界遠征において、そなたが敗軍をまとめてくれておらなんだら・・・。

  今の妾も、そしてこの協会も、なかったのじゃ。 感謝しても、しきれぬくらいじゃて。

長:昔の事ですよ。  それで、今日、わざわざお越し頂いたのは、何も昔話をするためだけ・・・ではないのでしょう?

ジ:うむ、実はな・・・・・・

 

 

 

 

 
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