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(そして、ここで今回の この事件の首謀者 カミイラ=エイデル=ゲーリング が登場したのです。)
ジ:カミイラ・・・・。
ヱ:何?! カミイラ・・・!!? うぅ・・・・お、おのれ! よくも・・・よくも私の友を!!
カ:ふん・・・・どうやら術が解けたか。 で、どんな気分だい? 自分で自分を信頼する者を手にかけたその感想は!!?
ヱ:うっ・・・くっっ! ちくショー! ちくしょ――!! タ:よせ! ヱルム!!
ヱ:何をする・・・・離せ・・・・離せー!!
エ:どうやら、思い出していただけたのはアダナ様との関係だけのようね・・・。
まぁ それもいいわ、後はぼちぼち思い出していけばいい・・・・それだけの事よ。
カ:フフフフ、何をおかしな事を。 吸血鬼になった者に、既に死んでしまった者にそんな事が出来る筈がないではないか!!?
エ:ないとも言い切れないでしょ? 大体において、あなたも今から 7,000年前 の事を恨んでいるんでしょうし。
カ:なんだと? お前みたいな小娘風情に何が分かるとでも!!?
エ:分かるわよ。 だって、あの時のあなたは、二度の魔界遠征に失敗したジョカリーヌの仇を討とうとして、その準備をしていた事なんですし。
カ:な・・・・何? (なぜ・・・この小娘がそんな事を・・・?)
エ:でも・・・二度の遠征を通じ、“リッチー”になっても勝てなかったこの人は悟ったの。
いくら自分達が『不死』となったところで、今は敵わないと言う事が。 それが例え『真祖』のあなたであってもね・・・。
カ:・・・・なに・・・・を・・・・。(ブルブル・・・)
エ:だから、あなたが魔界に遠征する、その前の晩にジョカリーヌが止めに行ったはずよ。 今のままではムリだ・・・・と。
それをあなたが聞き入れなかったものだから、仕方なくその体に封じ込めたの。 十分に魔力を振るえない体にね・・・。
それでも、あなたはそれをいまだに恨んでいる。 ジョカリーヌの気持ちの一滴も汲まないで!!
カ:ウソだ・・・・そんなこと・・・・デタラメに決まっている!!
ジ:・・・・いや、残念ながらそれが本当の事なのじゃ。
それにしても・・・エリア殿、今まで語られなかった事を、妾の胸の奥にのみしまっていた事を、どうしてそなたが・・・?
ソ:ふぅむ・・・ワシとて初めて聞いたことなのにな・・・。
エ:“事実は物語りより奇なり”と言う事ですよ。
カ:信じぬ・・・・私は信じぬぞ!! 第一私がそいつに劣っているわけがないではないか!!
エ:あなた・・・って、本当に救いがたいわね。 それじゃあ、どうして劣っている人の術が、いまだに解けないでいるわけなの?
カ:うっ・・・くく。 だ、黙れ!! 魔力の大半をそがれても、私の力は充分にお前達を葬れるわ!
エ:そう・・・・ならば、仕方のないことね。 折角、助かる最後のチャンスを与えてあげたのに・・・。
カ:はっ! ほざけ!! 小娘の分際で!!
『イド・ブレイク』!
(対象物の生命力を奪い去るという恐るべき術)
ギュルゴゴゴ・・・・
エ:くうっ・・・。(生命剥奪の術・・・!!) ジ:危ない! エリア殿!! (ツィ・・・)
(ここでジョカリーヌ、なんと、あの術を用いて対抗したのです。 そう、呪文を詠唱せずに、空中に文字を書く術法、『魔術文字』(ウィルド・グラフ)を・・・
そしてそこには梵字で“カーン”と書かれてあるのみだったのです。
その結果、術の威力のことごとくが、術者であったカミイラの元に返されることとなったのです。)
カ:くっ! ぅぬう・・・『反語』を意味するウィルド・グラフで対抗するとは・・・やってくれるわ、ジョカリーヌめ・・・。
ジ:カミイラよ・・・。 おぬしの気持ち、本当はありがたかったのじゃ。
じゃがのぅ・・・、妾達の力が十分であっても、後に続く者達の力量が絶対的に不足しておったのじゃ・・・。
そのような状態では、戦にはならぬ、不要な屍を増やすのみよ・・・、そう思いおぬしを思い留まらせたかったのじゃが・・・
無理じゃったよのぅ、許されよ、カミイラ・・・。
カ:そんな・・・それを今更謝ってもどうかなるとでも思っているのか!
エ:いくら言っても無駄よ、ジョカリーヌ。 この人も一度、どうにもならない 力の差 というものを思い知れば良いのよ・・・。
かつてのあなたのように・・・・ね?
ジ:エ、エリア・・・殿。
エ:それより、くるわよ・・・・彼女の最大の秘儀が。 ジ:く、来るというのか・・・『真空の炎』が!!
(ジョカリーヌ、恐るべきカミイラの最大の秘儀のために身構えますが、直後にエリアがこう言い放ったのです。)
エ:・・・・どいていなさい、ジョカリーヌ。 ジ:な、なんですと??!
エ:あなたも・・・私の正体に興味がおありなのでしょう? ならば、これからじっくりと拝むことができるわよ・・・。
カ:ふふ、何を血迷ったか。 お前如き か弱き小娘が・・・・ジョカリーヌに任せておればよいものを。
まぁ、ジョカリーヌでさえ手を焼くと言う私の炎の味を味わうというのも一興か・・・?
エ:あなた・・・私の事をさっきから 小娘 小娘 ・・・って言っているけど、外見上で判断しない方がいいわよ? 念のため。
・ ・・・と、言っても 聞く耳を持ち合わせていたのなら、こんなバカなまねはしないわよね。
カ:フンッ! ほざけぇ! 骨も残さず燃やし尽くしてくれるわ!!
グラルド・ウェルバー・アーニーマウラス・フェイ・シェルド・ワルク・アークシェトスプ
“集約せし冥界の炎よ、我が眼前にその威を指し示せ”
『ヘル・ファイア』!!
(結界内が一瞬にして真空となり、行き場を失った炎が踊り狂う様は、まさに“地獄の業火”の名に相応しいといえたでしよう。
ですが・・・本来ならそうなるはずの炎が、今回に限り湧き上がらなかったのです・・・・)
カ:フハハハハ! 燃えろ! 燃え栄えよ! はは・・・・な、何??
な・・・・なぜ? 術の効力が・・・・抑えられている? いや・・・術そのものが発動していない?? なぜなのだ??!
エ:・・・それが、今のあなた達の限界というものよ。 それを今から身をもって思い知るがいい!!
『ヘル・ファイア』!!
カ:うぐっ! こ、こいつ・・・私と同じ術を?!!
(うんっ?! なんだ・・・これは・・・。 今この小娘が放った術は、私のものよりはるかに威力が弱いではないか・・・)
おのれ・・・・小馬鹿にしおって・・・!!
ヴィレス・ビュレイカ・フィレスコバ・シャクラディア・ヴァルスコア・ファルディノフティカ
“炎を司りし竜よ、我に逆らいし者に罰を与えん”
『サラマンダー・クロス』!
ヒュゴオオォォォ・・・!
ヒュゴォォオオオォォォォォ!
(カミイラ 今度は、火竜『サラマンダー』を冠する呪文を詠唱します。
すると・・・カミイラの創り出した炎より、紛れもない 火竜『サラマンダー』 が現れ、エリアに襲いかかろうとしたのですが・・・
逆にエリア、身じろぎ一つせずにこう言い放ったのです。)
エ:ふっ・・・・『サラマンダー』か、このくらいなら丁度いいわね・・・・・。 (スッ・・・・)
(エリア、こう言い放った直後に左手を掲げる・・・・ しかし、容赦なく炎はエリアを包み込み・・・・)
ソ:んな・・・・小娘・・・?! タ:エ、エリアちゃん!! ヱ:あ・・・い、いゃああぁぁ!
カ:ははは! バカめが! 火竜の餌食となるがいい!
(カミイラによって創り出された炎の竜は、エリアを取り巻き、やがてはその灼熱の炎の中にエリアを取り込み始めようとしたのです。
・・・・が、しかし・・・そこに居合わせたものが、皆 一種異様な光景を目にしてしまったのです。
何故なら・・・
そう、そこには・・・炎の中より垣間見えたのは・・・・超高熱の炎で、身悶える一少女ではなく。
龍の、 それ を模した 炎の翼 を持つ一人の少女
がいたからなのです。)
ジ:う・・・うぅっ! な、なんじゃ・・・あれは・・!? ソ:ほ、炎の・・・翼・・・だと?
(そして、ほぼそれと時を同じくして、いずこよりか、猛々しい龍の咆哮が鳴り響き、周囲の炎も、とある一点に集約し始めたのです。
そう・・・・エリアのいた地点に・・・・・)
シュ・・・・ゴオォォォォ・・・・
シュ・・・・・ゴオオォォォォ・・・・・
シュ・・・・ゴオオォォォ・・・・・
シュ・・・・・ゴオオォォォ・・・・・・
カ:バ、バカな!!? あ、あれだけの炎の直撃を受けて・・・・火傷一つ負っていないだと・・・?
ソ:・・・・・それに・・・・顔つきもどことなく変わってきておる・・・・
ジ:(や、やはりそうじゃ・・・) あの時・・・妾の洞窟での出来事と、何一つ違えておらぬ・・・・。
カ:な、なんだと? ジョカリーヌ・・・そ、それは一体どういう・・・・?
エ:カミイラよ・・・お前は少々悪戯が過ぎた・・・・。
あの時なら・・・・お前が自分の非を素直に認めた時なら、その時点で許してやろうと思ったけれど・・・・
もう、こうなってしまった以上、お前を許しておくわけにはいかない。
カ:そ、それより・・・・・お前の、その・・・・背の炎の翼は一体・・・?
エ:これ・・・? (ふふ・・・) これは、私が私である証。 どれ、目障りなようなら・・・・
ふううぅぅぅっ!
(すると、どうでしょう・・・。 彼女の背にあった炎の翼は、彼女の気合いと共に、その背に収められてしまったのです・・・)
シュゴオオォォ・・・・ バチバチバチ ジュウゥゥゥ・・・ ジジッ・・・・ジィッ・・・・
タ:はっ・・・・あぁ・・・
ソ:なんだ・・・・あれは、小娘の・・・・エリアの背中にあるものは・・・・。
ジ:まるで・・・・龍の翼のような・・・ 紋様 とは・・・・。
カ:(う・・・ぐっ) “炎を取り込める能力”・・・それに、“炎の翼”・・・だと?
お、お前・・・・一体、何者・・・?