<弐>

 

お:それにしても・・・・、いつも、ステラさんや、Jokaちゃんとふざけあったりして、

  おどけてばかりいた臾魅ちゃんが・・・・。

  

  お母さんの事ともなるとああも豹変してしまうなんて・・・・。

 

マ:フフッ、あいつは、ママっ子だったからね・・・。

婀:ならば・・・・なおさら、ということか・・・。

 

 

マ:まぁ、なんだかんだ言いながら、部下全員を死地へと赴かせてしまった・・・・。

  肝心の私は、何もできないまま、こうしているしかない・・・・とは。

  全くもって、指導者失格だよ。

 

J:それは・・・・私も同じよ、ソロン。

  彼らを見捨てる・・・・ということは、私とて同罪。

 

  でも、あなたも分かっている通り、今回の一件に関しては、勝ち負けどうのこうの・・・というより、

  この後の、事後の処置をどう片付けるか・・・・と、言う事だわ。

 

マ:女禍よ・・・・。

 

 

お:そ、それでは、あなた方が、今回あえて動かない・・・・というのは・・・・。

 

J:そう・・・・それも一理あるの、でも・・・・・

お:でも?

 

J:でも、今回は私達が出なくても、何とかなりそうなの・・・。

お:えっ? そ、それ・・・って・・・一体?

 

J:分からない・・・・何なのか・・・・は。

 

  ただ、あの二人がこの世界に現れた時から、

  この私達を上回る、強大な力を持つ何者かがいる・・・・

  そのことだけは確かなのよ・・・・。

 

婀:・・・・と、言う事は、味方と考えてよろしいのですな?

J:そうね・・・・とりあえずは、そう・・・願いたいものだわ。

 

 

(この世界において、力のある二人が出ないという理由。

その裏には、例え彼らが出陣したとしても、

彼らと、かのアビスが対峙した時に起こりうるであろう、凄まじい余波、

そしてその周囲におきる多大な被害の爪痕・・・・それだったのです。

 

これが、未だ文明の発達していない、太古の昔なら、何の躊躇もなしに出ていたであろうものを・・・・

今の世では、それは考えられそうもない事のようなのです。

 

しかし、実はもう一つの理由が・・・・

それは、異世界の彼女達、そうジョカリーヌとエリア出現時に感じたもの。

 

自分達よりも、より力のある者達の存在を・・・・

この時、ソロンと、女禍の二人は、その身に感じていたようです・・・。)

 

 

お:・・・分かりました。

  では、わたくしも、彼女達の後押しをしに行きたいと思います。

 

マ:なぁ、あなた・・・・。

お:はい・・・。

 

マ:・・・・・死ぬなよ。

お:(!!)・・・・はいっ!

 

婀:姐上、それでしたら、妾も。

J:いいえ、婀陀那、あなたはここに残りなさい。

婀:で・・・・ですが!!

 

J:今回ばかりは私も図り知る事が出来ません。

  出撃(で)た人達のうち、どれだけ生き残れるのか・・・・それさえも。

婀:で、ですが、何とかなるのではないのですか??

 

J:そうね、何とかなるわ・・・。

  少なくともこの世界・・・・は、ね。

 

婀:そんっ・・・・? で、では??!

 

J:(コクッ) あるいは出撃(で)た人、その全員が生きて帰れないかもしれない。

  その代わりに、世界が救われる・・・・ということも十分に考えられる事なのよ。

 

 

お:それでも・・・わたくしは行きたいと思います。

  後の事、お願いね? 婀陀那ちゃん・・・。

 

婀:申し訳ない・・・っ、姐上・・・。

バタンッ

 

(もうしわけなさそうな、婀陀那を残し・・・・おひぃさん退室)

 

 

マ:低級神・・・。(ぽんっ)

 

婀:触るではないッ!

  ふ・・・・っ、ふふふ、なんとなくだが・・・・臾魅殿の気持ち・・・分かった気がいたすわ。

 

 

  (・・・・・・姐上ッ!!)(キッ!)

ザ・・・・ッ

 

J:婀陀那っ!  なりませんよっ! 一時の感情に揺り動かされてはっ!!!

 

婀:・・・分かっておりまするよ、女禍様。

  妾とて、神の端くれ、死なぬ努力はするつもりです。

 

  では・・・・ゴメンッ!!

バタンッ!−☆

 

(ここで、女禍の静止を振り切り、婀陀那退室)

 

 

マ:あなたも・・・・苦労しますな、女禍よ・・・。

J:・・・・本当ね・・・・。

  (でも・・・・嬉しいわ、婀陀那)

 

 

(おひぃさんに続いて婀陀那がギルドから出て行くところを、その建物の屋上より見ている人影が二つ・・・・・

それは、なんと・・・・あの・・・・)

 

 

 

エ:うふふふ、これで出撃(で)るべき人達は、全部出撃(で)た、という事になりましたね。

ジ:(ふっ) あれで、心を動かされぬようでは、ここに留まる(とどまる)という価値もありませぬよ。

 

エ:それにしても・・・見事な演説でしたね、ジョカリーヌ。

ジ:ふふ・・・妾の三文芝居も少しは役に立ったようにございますかな。

  それではそろそろ・・・・・。

 

エ:ええ・・・そうね。                       ス・・・・ッ(ここでエリア、左手を掲げ・・・)

  ・・・ここより・・・南西の方角で、兇悪な波動を感じるわ・・・・。

 

ジ:成る程・・・・なれば・・・・                        『移送方陣』!

シュ・・・・ン

 

(そう・・・・その人影とは、先程失意のうちにギルドを出、

早、自分のいた世界に帰ったであろうと思われた、ジョカリーヌと、エリアだったのです。

 

しかし、それはどうやら、見せかけのようで・・・・

本当は、仲間の危機を救いたくとも、後一歩のところで躊躇していた者達の、

背中の後押しをしてやるための、お芝居だったようです。

 

 

それを証拠に・・・・彼女たちは、この事変の核心をいち早く見つけ、そこに行くようです。

そう、今回の諸悪の根源の下(もと)に・・・・)

 

 

 

 

 

 

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