<肆>

臾:う・・・・うわ・・・・。

  な、なんや・・・これ・・・・どないしたら、こないな風に・・・。

ナ:バ、バカな・・・!! 辺り一面、炎の海だなんて・・・!!

 

お:(く・・・っ!)   あ・・・っ、あそこに人が!!

 

  あの・・・どうされたのです? ここに一体何が・・・

 

職:あ・・・・あ、あぁ・・・!!  ほ、炎が・・・手、手の形をした・・・炎がぁっ!!(ガクッ!)

 

お:もし・・・・・もし??

  (炎が? 炎が手の形を?? 一体どういう事・・・?)

 

 

臾:クソぉ〜〜ッ! どこや! どこに隠れとるんや! 姿見せぇや! ここにおるんやろが!!

  うちの母ちゃん、やりくさったヤツがおるんは! 分かってんねんで!!?

 

 

(そこには・・・・かつてない程の炎が荒れ狂うようにして、一つの建物を飲み込んでいたのです。

 

そして、もっと奇妙な事には・・・、そこの職員であろう者の最後の言葉からも見て取れるように・・・

なんと、炎が、手の形をしながら襲い掛かってきたと言う事なのです。

 

しかし・・・不思議な事には、こんな大災害級の炎はあっても・・・・

それを起こした、魔形の者の姿が見て取れなかった・・・・ということなのです。

(少なくとも、気配は感じられるのです・・・・が)

 

すると・・・・不意に、炎の中より、腹の底から響くような声がしてきたのです。)

 

 

ア:誰だ・・・・このワシの遊興の邪魔するヤツは・・・・。

  おのれらか・・・・フンッ、小虫めが・・・・、死に絶えるがいい!

 

  行けぃ! 者共よ! 

 

臾:くぅ〜〜〜っ、ようさん出しよってからに・・・

ええわ! こうなったら、まとめて相手したる!!

 

お:ダメです! 臾魅さん、落ち着きなさいッ! こういうときは迂闊に動いていいものではありません!

  確かに、大勢はいますけれど、操るブレーンを叩いてしまえば、所詮は烏合の衆に過ぎません!

 

  落ち着いて・・・ブレーンとなっている者を探すのです、個々の撃破はそれからです!

 

ナ:だっ・・・だが、これではいくらなんでも、数が多すぎる!!

 

 

(そう、先程より、何処(いずこ)からか、声がしてきたかと思うと、次には、不特定のポイントから、

数多(あまた)の魔物が・・・ガーゴイルや、ゴブリン、はてまたは、ゾンビーやスケルトンの類まで、排出してきたのです。

(その数、数千、数万とも・・・)

 

しかし、ここは冷静なおひぃさんが、その対策を。

いくら数があろうとも、所詮は操る者がいないと烏合の衆に・・・・

つまりはその頭を先に叩く事を前提にした作戦を練ったのです。

 

でも、相手は数で勝ります、一体どうしたら・・・?

そんな時、彼方から聞きなれた声がしてきたのです。  その、声の主・・・とは?)

 

 

婀:ふふふ、頼りにならぬのぅ、なれば、妾が助太刀いたそう。

 

お:(え・・・っ?!) あ、婀陀那ちゃん?

 

婀:遅れて申し訳ありませぬ、姐上。

  それと・・・・もう一方(ひとかた)・・・。

 

 

臾:え゛ッ!?・・・あ・・・!!

  ど、ドンッ! あんた・・・まさか、こないなとこに来てまで?!

 

サ:おいおい、なに勘違いしてやがんだ?

  ここまで来たんだ、もう止めやしねぇよ。

 

  それより、こっから先は、このオレも参加させてもらうぜ!!

 

 

(どうやらそこへは、強力と言っても過ぎる程の助っ人、婀陀那にサヤが参上したようです。

これでようやく、戦力的には五分と五分

でも・・・・五分では、勝ちは、ありえないのです。

 

ですが・・・この様子を、そこの場所の別の一角から見守る二つの目が、存在していたのです。)

 

 

エ:ふふふ、ようやく、出揃いましたね、命知らずの戦士が五名。

  どう? もう少し・・・・

 

ジ:そうですな、もう少しばかり様子を伺ってからでも、遅くはありますまい。

 

エ:では、そうすることにいたしましょう。

  ですが・・・なるべく早くに・・・・

 

ジ:フフフ・・・心得ておりまする。

  お任せくださりませ。

 

 

(この場に既にいながらも、彼女達は未だ動く気配を見せよう、とはしないようです。

 

では・・・高みの見物?

 

いいえ、そうではなく、この時の彼女達は彼女達なりの、考えがあって動いていたのです。

 

 

そして・・・・第一波との戦端が、今開かれようとしていたのです。)

 

 

臾:くぉ・・・んのぉ! 喰らいやがれぇえ!

  『氷魔邪拳』!『凍波荒神拳』!!(臾魅、左腕の『氷室』の方での凍気攻撃)

 

  はぁ・・っ! はぁ・・・っ! ふぅ・・・・っ

  こ、こら・・・きりないで・・・。

 

ナ:ちっきしょう! こっちは弾切れだ!            仕方・・・ねぇっ!!

 

  ・・・・・・・。(ナオミ、静かに気を左手のみに集中させ・・・)

ジャキンッ!       ・・・   ・・・カシュンッ カシャンッ!

 

ヘ・・・っ、受けてみな、アタシの『ストラディ・バリウス』の攻撃を・・・っ!!

『フリーズ・カノン』!  『ヴェイパーズ・スラング』!!(ナオミ、左腕の魔銃で、敵を撃ち払う)

 

 

サ:おいっ! ナオ!!  あんまし無茶すんじゃねえ!

ナ:分かっちゃいるが・・・そんなの一々気にしてちゃ終わんねぇだろ??!

 

サ:ちィ・・・っ!!        おいっ! おひぃ! まだ特定できねぇのかぁ??! 

 

お:(くぅ・・・っ!)だ、ダメですっ! 余りに数が多すぎて・・・・どれがブレーンなのか・・・・

 

婀:ぬぅおおおっ! 邪魔だていたすなぁぁッ!

  出でよ、『ジグムンド』よ!!  一掃してくれるわ!!

 

  『ムーン・スクレイパー』!!(婀陀那、回転を伴いながら、弧を描くような軌道で敵をなぎ倒す)

 

 

  ぬぅ・・・っ、いかんせん、敵が多すぎる・・・。

 

お:婀陀那ちゃん・・・。

  こうなれば・・・わたくしも!!(オン・ダキニ・・・・)

  『六魂封滅陣』!!(おひぃさんの、十八番の封印術)

 

 

 

ア:フッ・・・フッ・・・フッ・・・・

  以外に善戦するではないか・・・・少しは愉しめそうだな。  だが・・・・(にまぁ・・・・)

 

  ぬぅんっ!  絶望を味わうがよい!!

  『マグナ・グレイブ』!!

ドオォォ・・・・ンッ!

 

 

お:な・・・っ! 地、地表が裂けて、そこから溶岩が?!

サ:惑わされんなぁ! そいつは幻影だ!!

ナ:くそぉ・・・っ! やってくれるな!!

婀:中々味なマネを!!

 

(しかし・・・このとき、臾魅がとある事態に気付いたのです。

あるはずのないところに二つの影。

 

しかも、それは・・・またも仲間の体を貫いてしまったのです。)

 

 

臾:あっ!! アミさん! う、背後ろ(うしろ)・・・っ!!

 

ザ・・・・・シュ・・・ッ!

 

 

ナ:う・・・・ぐぶぁあっ!!(な・・・っ?!)

ドォ・・・ッ      ドシャッ・・・

 

ナ:うぅ・・・っ、ち、ち・・く・・・しょ・・・・・

 

臾:あ・・・・アミさぁ・・・・・・っくぅぅっ! ちっくしょおおっ! おんのれぇぇいっ!

  よ、よくも・・・アミさんをおっ!!  喰らえやぁっ!

  『断滅』!!(この時点では、臾魅の持つ最強の奥義、でも、まだ腕が未熟なために、スカる事が多い。)

 

(しかし、この臾魅の身命を賭した一撃も、虚しく空を切ることとなり・・・・

そして、逆にそれが・・・大技を空振った事で大きな隙が出来てしまった臾魅には、致命傷になってきたのです・・・

 

そして、当然、臾魅の身にもナオミと同じく炎の魔手が!!

 

 

だが・・・そこで、そこに居合わせた彼女達は信じられない事を、目の当たりにする事となるのです。

どうして・・・?

 

それは・・・、臾魅の身にも炎が降りかかろうとしたその瞬間、なにやら白い物体が、彼女を救ったからなのです。

では、その白い物体・・・・とは?)

 

 

 

 

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