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臾:う・・・・うわ・・・・。
な、なんや・・・これ・・・・どないしたら、こないな風に・・・。
ナ:バ、バカな・・・!! 辺り一面、炎の海だなんて・・・!!
お:(く・・・っ!) あ・・・っ、あそこに人が!!
あの・・・どうされたのです? ここに一体何が・・・
職:あ・・・・あ、あぁ・・・!! ほ、炎が・・・手、手の形をした・・・炎がぁっ!!(ガクッ!)
お:もし・・・・・もし??
(炎が? 炎が手の形を?? 一体どういう事・・・?)
臾:クソぉ〜〜ッ! どこや! どこに隠れとるんや! 姿見せぇや! ここにおるんやろが!!
うちの母ちゃん、やりくさったヤツがおるんは! 分かってんねんで!!?
(そこには・・・・かつてない程の炎が荒れ狂うようにして、一つの建物を飲み込んでいたのです。
そして、もっと奇妙な事には・・・、そこの職員であろう者の最後の言葉からも見て取れるように・・・
なんと、炎が、手の形をしながら襲い掛かってきたと言う事なのです。
しかし・・・不思議な事には、こんな大災害級の炎はあっても・・・・
それを起こした、魔形の者の姿が見て取れなかった・・・・ということなのです。
(少なくとも、気配は感じられるのです・・・・が)
すると・・・・不意に、炎の中より、腹の底から響くような声がしてきたのです。)
ア:誰だ・・・・このワシの遊興の邪魔するヤツは・・・・。
おのれらか・・・・フンッ、小虫めが・・・・、死に絶えるがいい!
行けぃ! 者共よ!
臾:くぅ〜〜〜っ、ようさん出しよってからに・・・
ええわ! こうなったら、まとめて相手したる!!
お:ダメです! 臾魅さん、落ち着きなさいッ! こういうときは迂闊に動いていいものではありません!
確かに、大勢はいますけれど、操るブレーンを叩いてしまえば、所詮は烏合の衆に過ぎません!
落ち着いて・・・ブレーンとなっている者を探すのです、個々の撃破はそれからです!
ナ:だっ・・・だが、これではいくらなんでも、数が多すぎる!!
(そう、先程より、何処(いずこ)からか、声がしてきたかと思うと、次には、不特定のポイントから、
数多(あまた)の魔物が・・・ガーゴイルや、ゴブリン、はてまたは、ゾンビーやスケルトンの類まで、排出してきたのです。
(その数、数千、数万とも・・・)
しかし、ここは冷静なおひぃさんが、その対策を。
いくら数があろうとも、所詮は操る者がいないと烏合の衆に・・・・
つまりはその頭を先に叩く事を前提にした作戦を練ったのです。
でも、相手は数で勝ります、一体どうしたら・・・?
そんな時、彼方から聞きなれた声がしてきたのです。 その、声の主・・・とは?)
婀:ふふふ、頼りにならぬのぅ、なれば、妾が助太刀いたそう。
お:(え・・・っ?!) あ、婀陀那ちゃん?
婀:遅れて申し訳ありませぬ、姐上。
それと・・・・もう一方(ひとかた)・・・。
臾:え゛ッ!?・・・あ・・・!!
ど、ドンッ! あんた・・・まさか、こないなとこに来てまで?!
サ:おいおい、なに勘違いしてやがんだ?
ここまで来たんだ、もう止めやしねぇよ。
それより、こっから先は、このオレも参加させてもらうぜ!!
(どうやらそこへは、強力と言っても過ぎる程の助っ人、婀陀那にサヤが参上したようです。
これでようやく、戦力的には五分と五分
でも・・・・五分では、勝ちは、ありえないのです。
ですが・・・この様子を、そこの場所の別の一角から見守る二つの目が、存在していたのです。)
エ:ふふふ、ようやく、出揃いましたね、命知らずの戦士が五名。
どう? もう少し・・・・
ジ:そうですな、もう少しばかり様子を伺ってからでも、遅くはありますまい。
エ:では、そうすることにいたしましょう。
ですが・・・なるべく早くに・・・・
ジ:フフフ・・・心得ておりまする。
お任せくださりませ。
(この場に既にいながらも、彼女達は未だ動く気配を見せよう、とはしないようです。
では・・・高みの見物?
いいえ、そうではなく、この時の彼女達は彼女達なりの、考えがあって動いていたのです。
そして・・・・第一波との戦端が、今開かれようとしていたのです。)
臾:くぉ・・・んのぉ! 喰らいやがれぇえ!
『氷魔邪拳』!『凍波荒神拳』!!(臾魅、左腕の『氷室』の方での凍気攻撃)
はぁ・・っ! はぁ・・・っ! ふぅ・・・・っ
こ、こら・・・きりないで・・・。
ナ:ちっきしょう! こっちは弾切れだ! 仕方・・・ねぇっ!!
・ ・・・・・・・。(ナオミ、静かに気を左手のみに集中させ・・・)
ジャキンッ! ・・・ ・・・カシュンッ カシャンッ!
ヘ・・・っ、受けてみな、アタシの『ストラディ・バリウス』の攻撃を・・・っ!!
『フリーズ・カノン』! 『ヴェイパーズ・スラング』!!(ナオミ、左腕の魔銃で、敵を撃ち払う)
サ:おいっ! ナオ!! あんまし無茶すんじゃねえ!
ナ:分かっちゃいるが・・・そんなの一々気にしてちゃ終わんねぇだろ??!
サ:ちィ・・・っ!! おいっ! おひぃ! まだ特定できねぇのかぁ??!
お:(くぅ・・・っ!)だ、ダメですっ! 余りに数が多すぎて・・・・どれがブレーンなのか・・・・
婀:ぬぅおおおっ! 邪魔だていたすなぁぁッ!
出でよ、『ジグムンド』よ!! 一掃してくれるわ!!
『ムーン・スクレイパー』!!(婀陀那、回転を伴いながら、弧を描くような軌道で敵をなぎ倒す)
ぬぅ・・・っ、いかんせん、敵が多すぎる・・・。
お:婀陀那ちゃん・・・。
こうなれば・・・わたくしも!!(オン・ダキニ・・・・)
『六魂封滅陣』!!(おひぃさんの、十八番の封印術)
ア:フッ・・・フッ・・・フッ・・・・
以外に善戦するではないか・・・・少しは愉しめそうだな。 だが・・・・(にまぁ・・・・)
ぬぅんっ! 絶望を味わうがよい!!
『マグナ・グレイブ』!!
ドオォォ・・・・ンッ!
お:な・・・っ! 地、地表が裂けて、そこから溶岩が?!
サ:惑わされんなぁ! そいつは幻影だ!!
ナ:くそぉ・・・っ! やってくれるな!!
婀:中々味なマネを!!
(しかし・・・このとき、臾魅がとある事態に気付いたのです。
あるはずのないところに二つの影。
しかも、それは・・・またも仲間の体を貫いてしまったのです。)
臾:あっ!! アミさん! う、背後ろ(うしろ)・・・っ!!
ザ・・・・・シュ・・・ッ!
ナ:う・・・・ぐぶぁあっ!!(な・・・っ?!)
ドォ・・・ッ ドシャッ・・・
ナ:うぅ・・・っ、ち、ち・・く・・・しょ・・・・・
臾:あ・・・・アミさぁ・・・・・・っくぅぅっ! ちっくしょおおっ! おんのれぇぇいっ!
よ、よくも・・・アミさんをおっ!! 喰らえやぁっ!
『断滅』!!(この時点では、臾魅の持つ最強の奥義、でも、まだ腕が未熟なために、スカる事が多い。)
(しかし、この臾魅の身命を賭した一撃も、虚しく空を切ることとなり・・・・
そして、逆にそれが・・・大技を空振った事で大きな隙が出来てしまった臾魅には、致命傷になってきたのです・・・
そして、当然、臾魅の身にもナオミと同じく炎の魔手が!!
だが・・・そこで、そこに居合わせた彼女達は信じられない事を、目の当たりにする事となるのです。
どうして・・・?
それは・・・、臾魅の身にも炎が降りかかろうとしたその瞬間、なにやら白い物体が、彼女を救ったからなのです。
では、その白い物体・・・・とは?)