<伍>

 

 

ゴウ・・・・ッ・・・!

 

臾:ち、ちっくしょおおっ! こ、ここまでなんかぁぁっ!!

 

シュ・・・

 

お:ああっ! ゆ、臾魅さんっ!!       ・・・・って、ええっ?!

婀:な、なんと・・・・あの者は・・・・

サ:あっちの世界に・・・・帰ってなかったってーのか・・・。

 

 

臾:う・・・・あ・・・・あ? あれ??

  う、うち・・・・生きとる? な・・・なんでや??

 

  (は・・・っ!)あ、あんた・・・!!

 

 

ジ:ふふふ、大丈夫かえ?  しかし、よう踏ん張ったのぅ。

  妾達がここに来たからは、安心なさるるが宜しいぞ?

 

エ:そうですよ? 臾魅さん。

 

 

臾:あ、あんたも・・・・そうか・・・帰ったんやなしに・・・

  うちら応援しに来てくれたんやなぁ・・・。

 

  ほんま、おおきに、うち、なんて果報者なんや・・・・。

 

 

エ:うふふ、応援じゃあなくって、加勢にきたんですよ、私達・・・・。

  そうですよね? ジョカリーヌさん。

 

ジ:うむ・・・・。

(しかし、あのおひぃさんとか言う者、上手く重傷を負った者を、

停滞の法にて維持しておる・・・・大した者じゃ・・・。)

 

ア:おのれぇい! 何者!! これでも喰らうがいい!!

ゴォッ!     ゴォッ!     ゴォォッッ!

 

(ジョカリーヌが余所(よそ)を向いた隙に、アビスから放たれた火炎弾、

そしてそれはジョカリーヌを直撃! かと思いきや・・・)

 

ドスッ!     ドスッ!     ドスッ!!

ジッ・・・じゅうぅぅ・・・・

 

 

お:えっ?! ええっ??!

  (た、確か、今・・・炎の直撃弾を受けたはず・・・・)

 

  そ、それなのに・・・・な、なぜ? 平気でいられるの・・・?

 

婀:(わ、妾達と、身体構造が・・・・明らかに違う??)

 

サ:(あ・・・あいつ・・・このオレと、同等・・・・いや、それ以上の・・・)

 

 

 

ジ:フンッ・・・・フフフ・・・、いかがした? よもや、これがお主の全力ではあるまいなぁ?

  そうでないにしても・・・少し、妾を小バカにしておるのではないかな?

 

ア:(・・・・何? このワシの攻撃を軽くいなした・・・だと?)

  フッ・・・・ふふふ、これは失礼をした・・・・ならばこれではどうだっ!!

  『セバ・チュラス』!!(無数の火炎弾による攻撃、ジョカリーヌがもしよけても、周囲の者への被害は??)

 

 

ジ:ふふ、小技を・・・

  (ツイ・・・)“KYOZETU”(拒絶)

 

お:えっ?! な、何・・・これ・・・! (空中に文字を・・・・?)

臾:あ、アビスの火炎弾が・・・・

サ:オレ達を・・・・避けるようにして・・・?

婀:こっ・・・これは・・・?

(ディストーション・コート(歪曲空間包護)?

し、しかし・・・これほどの高度な術を操れるとは・・・・もしや・・・あの者?)

 

(そう、ジョカリーヌ、アビスの火炎弾を、得意としている術『魔術文字』(ウィルド・グラフ)

で、その全てを回避したのです。)

 

ア:(なぁっ??! ワ、ワシの技が・・・尽く(ことごとく)外された??)

  お前・・・一体、何者だぁっ!!

 

 

ジ:フッ、フフフ・・・・妾か? お主如きに名乗るのもおこがましいが、まぁよかろう。

  妾は、 ジョカリーヌ=ベルゼビュート=イグレィシアス という者じゃ。

  

  これより先は、このリッチーである妾が須く(すべからく)お相手いたそう。

  心してかかられよ。

 

お:えっ??!(い、今・・・なんですって?)リ、リッチー??

婀:ま、まさか・・・別名『死せる賢者』といわれる・・・あの??

サ:そ、それで・・・あいつ、あんなに火炎弾浴びても・・・・

臾:平気・・・やったっちゅうんか・・・・?

 

 

ジ:当然じゃ、妾の身は、現世(うつしよ)にありて、現世(うつしよ)に莫き(なき)が如し!!

  その・・・恐ろしさ、篤と味あわれるがよいぞ・・・・

 

ア:何を・・・小癪(こしゃく)なっ!!

  者共、かかれぃ! あの痴れ者を生かして返すなぁっ!

 

(アビスの号令にて、一斉にジョカリーヌに飛び掛る数多(あまた)の魔物。

しかし・・・このとき、まだ彼らは知らなかったのです・・・・リッチーが、どういう魔物か・・・・

 

ある者は彼女の身を突き、ある者は引き裂いたのです・・・が、ジョカリーヌは一向に動ずる気配はなく・・・)

 

 

ジ:ふ・・・・・フハハハハ! 一体何をしておるのじゃ! このうつけ共が!!

  こそばゆぅてかなわぬわ!!

 

  さぁ・・・何をしておる・・・妾とともに来るのじゃ・・・・

  そして、この妾の血肉となり・・・・妾とともに生きるのじゃ!!

グ・・・・ッ      ズ・・・ズ・ズ・ズ・・・・

 

ガ:あ゛・・・? あ゛あ゛・・・ぎゃああ!

ゾ:あ゛ばば・・・ち、ちべたぃ゛〜っ??!

ゴ:ア゛、ア゛ビズざま゛ぁ〜っ、だ・・・だぢげでぇ〜っ??!

 

ジ:はぁーっはっはっは! どうした!? 妾を突くのではないのか? 引き裂くのではないのか?

  お主らが来ぬというのなら・・・・妾から行かせてもらうぞ?!

 

ゴ:あ・・・ひぃぃ!! ア、アビス様ぁーっ!!

 

ア:ぬぅぅ・・・・っ、この腰抜け共めぇっ!

ぐしゃあっ!

ゴ:あぎゃああ・・・

 

 

ジ:フッ、フフフ・・・とうとう身内までも、手にかけたか・・・・

  これで、どちらが痴れ者か、分かったようじゃのう。

 

ア:なんっ・・・・だとぉぉ・・・・!

 

ジ:さて、残りのゴミめは一掃してくれるわ。

  出でよ『アドヴェンズ・ディア』よ!! そして・・・我が魔導の一端、垣間見せてくれよう!

デ・ヴィド・ソール・シール・レ・クィヱム

{氷雪を束ねし、白銀の刃よ、全てを沈黙させ、破砕せよ}

 

『フロスト・ベイト』!!

 

 

(ジョカリーヌの凍結の術にて、その身を凍らされ、また粉々にされた魔物は数知れず・・・・とか。

 

そして、闇にて、ただ燃え盛る炎に向かいて、ジョカリーヌが口にした言葉・・・とは?)

 

 

ジ:フフフ、お主の取り巻きは全てがおらなくなったぞ?

  残りはそなただけ・・・・じゃが、もはやその正体を妾は見抜いておる。

  観念なさるがよいぞ・・・。

 

ア:・・・・フッ・・・・フフフ・・・・ワシの配下共を・・・・

  その実力は認めて遣わそう・・・・だが、ワシの正体を知るなどと・・・・

  見え透いたウソはよくはないな・・・・。

 

ジ:ウソ・・・?(フ・・・ククク・・・) 妾はウソ、偽りを申したつもりはないがのぅ・・・・。

  なれば・・・その証拠に・・・・、

今からそなたのカラクリ、そのヴェールを剥ぎ取って見せようかの?

 

 

お:(こ・・・っ、この人・・・既にこの魔物の正体を・・・!!?)

婀:(な、なんと・・・しかしどのようにして・・・・)

サ:(どうやら・・・・ウソじゃあないらしい・・・・)

臾:(そ、それにしても・・・何ちゅーお人や・・・)

 

 

 

 

 

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